大阪市立美術館 開館80週年 デトロイト美術館展 ~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~
会期: 2016-07-09 - 2016-09-25
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
油彩画
平面
開催内容
デトロイト美術館は1885年の開館以来、自動車業界をはじめとする有力者からの資金援助を通じて世界の名品を収集してきました。そのコレクションは、古代エジプトから現代美術まで、6万5千点にのぼります。また、アメリカで初めてゴッホやマティスの作品を購入した美術館としても知られている全米屈指の美術館です。
充実したコレクションを誇るデトロイト美術館は、2013年、デトロイト市の財政破綻を機に、存続の危機に陥りました。市の深刻な財政難により、財源の確保を目的として所蔵する美術品を売却する可能性も国際的なニュースとして取沙汰されましたが、国内外の資金援助やデトロイト市民の声により、コレクションは1点たりとも失われることなく、美術館は今なお人々の憩い・学びの場として市の中心に存在しています。
本展では、アメリカの公共の美術館として初めて展示されたフィンセント・ファン・ゴッホの《自画像》やアンリ・マティスの《窓》、そして日本初公開となるパブロ・ピカソの《読書する女性》をはじめ、デトロイト美術館で、ひときわ高い人気を誇る近代絵画の珠玉のコレクションから、モネ、ドガ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌ、キルヒナー、モディリアーニらの選りすぐりの作品52点を、「印象派」「ポスト印象派」「20世紀のドイツ絵画」「20世紀のフランス絵画」の4つの章に分けて紹介します。全作品が展覧会のハイライトとも言える、まさにヨーロッパ近代絵画の「顔」ともいうべき名画をご堪能いただくとともに、これらの貴重な作品の収集を可能にしたアメリカの象徴的な産業都市デトロイトと美術館の歴史、ならびにその価値をいち早く見出し収集を行ったコレクターたちの審美眼にも目を向けていただくことで、名品を鑑賞するだけにとどまらない美術館の楽しみ方をご提供できましたら幸いです。
第1章 印象派
デトロイト美術館の充実したコレクションの中から、選りすぐりの作品をお見せする本展覧会。日本初公開の15点を含めた全52点を4章に分けてお届けします。
展覧会の入り目である第1章では、印象派を代表する、モネ、ドガ、ルノワールらの作品をご紹介します。「印象派」は戸外での作品を重視し、黒色や褐色を避けた鮮やかで明るい配色によって、産業化や工業化により変貌を遂げていくパリの街並み、競馬やバレエ、カフエなど市民の日常生活の一場面が描かれました。
第2章 ポスト印象派
第2章では、ゴッホの《自画像》と日本初上陸となる晩年の作品《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》、ゴーギャンの《自画像》、代表的な画題《サント=ヴィクトワール山》の風景画をはじめとする、静物画、水浴画、肖像画のセザンヌ作品4点など、「ポスト印象派」を代表する画家たちの傑作を中心にお届けします。
この章では同じ頃、アール・ヌーヴオーと連動し、挿絵、版画、ポスター、家具などジャンルの垣根を越えた創作活動をした「ナビ派」モーリス・ドニやピエール・ボナールの作品もお楽しみいただけます。
第3章 20世紀のドイツ絵画
第3章では、さまざまな芸術家と交友があったドイツ人館長ヴィルヘルム・R・ヴァレンティナーの時代に多くの作品を収集し、とりわけ充実したドイツ絵画をご紹介します。
「ブリュッケ(橋)」、「青騎士」など、第一次世界大戦前後からドイツとオーストリアで活躍した芸術家たちによる、人間の内面を大胆な色彩や形態で表した作品の“傾向"や“気分"の総称であった「ドイツ表現主義」は、ナチス・ドイツによって「退廃芸術」と弾劾されたことにより、皮肉にも明確に規定されることとなりました。
第4章 20世紀のフランス絵画
第4章は“色の魔術師”マティスの傑作《窓》、独特のスタイルで描かれたモディリアーニの男女の肖像画、初期作品アルルカン、キュビズム、古典主義、表現主義ほかさまざまな時代のピカソ作品6点など、20世紀フランス絵画で展覧会を締めくくります。 19世紀後半に「芸術の都」として不動の地位を築いたパリには、世界各地から芸術を志す若者が集まるようになりました。「フランス美術」とは、もはやフランス人による美術ではなく、多国籍の芸術家、画商やコレクターによって形成されるものとなり、多様性とダイナミズムを取り込んで、1930年代、第二次世界大戦前まで大きな輝きを放ちました。