心ゆさぶる写実絵画 -今を生きる日本の作家たち
開催概要
- 会期
- 2016年05月19日 〜 2016年11月13日
- 会場
- ホキ美術館 (千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15)
- ジャンル
- アート
- タグ
- 油彩画、平面、現代アート
開催内容
絵画作品を目の前にしてはっとする、心ゆさぶられるとき、何かが心と響き合う。
それは画家も同じ。対象に向き合い心ゆさぶられ描き始める。対象を見つめれば見つめるほど新たな発見があり、驚きと喜びとともに筆を進める。1枚の作品を描くのに最低でも2-3ケ月という長い年月をかけて向き合う写実絵画。画家の長い思索と制作の過程を経て完成した作品を前に鑑賞者は何を感じるのでしょうか。新たな感動の体験をしてみませんか。本展に並ぶのは日本で活躍する30代から80代までの写実作家27人の作品70点です。
70代以上の作家たち
戦後、抽象絵画全盛時代にあっても写実絵画を描き続け、その後に続く世代の大きな指針となった作家たち。 80歳の中山忠彦を筆頭に野田弘志、森本草介は1歳ずつ違い、画風もそれぞれ大きく異なる。羽田は、芸大助手時代にローマの修復研究所に学んだ経験から、独特の写実でヨーロッパの風景を描く。
60代の作家たち
第二世代として、まだ写実絵画を描く人が少なかった時代に、ヨーロッパで長く学んだ青木敏郎。モノ派から写実画家に転じ、常に画風の変革を続ける五味文彦。テンペラ技法を使い、広島市大で教鞭を執る大矢英雄らがいる。
50代の作家たち
まだ、写実絵画がそれほど盛んではなかった学生時代から、伸び伸びと作品制作に挑んでいた画家が多い。ヨーロッパでフェルメールの模写を続けた生島浩をはじめ、ニューヨークの画廊で認められエジンバラに移住した原雅幸、武蔵野美術大学に学んだ島村、小尾、芸大出身の大畑、藤原など、それぞれの道をじっくりと歩んでいる。
40代の作家たち
アニメに親しんだ世代であり、一方スペイン留学を経てそれらを作品に生かす石黒賢一郎。宮城教育大で教鞭をとり、自然と対峙した作品を描く安彦文平。対象を深く見つめ発見の喜びをキャンバスに描くという塩谷亮ら。
30代の作家たち
既に学生時代から写実ブームの兆しがあり、常にその中で競争を強いられてきた世代。学生時代から頭角を現していた山本大貫、広島市大から、野田の主宰する存在の美学に入った廣戸絵美、ドレスデン国費留学を経て古典技法をアレンジする渡抜亮、そぎ落とされた先に物質の存在を露呈させる藤田。ホキ美術館大賞への応募も多い世代で、今後の発展が大いに期待されている。
歴史的背景
15世紀初頭、ヨーロッパで開発された油絵の具によって、半透明な薄い層を重ねることができ、自然の表現に極めて近い色や陰影の画面を構成できるようになった。その頃始まる写実絵画は、レオナルド・ダ・ヴィンチを頂点に、遠近法と陰影、筆のタッチを消す技法により完成されたど言われている。
しかし、19世紀初頭に写真が発明されると、写実性の価値が下がり、写真が主流となった。画家から写真家に転向する人も続出した。絵画表現は写実性から離れ、多様な展開を見せる。
20世紀、戦後は抽象絵画が全盛となり、「抽象を描かないものは画家ではない」とまで言われる時代となった。しかし、そうしたなか、中山、野田、森本は写実絵画を描き続け、2010年に写実絵画専門のホキ美術館が開館。
いま日本は世界的に見ても写実が最も盛んな国となっている
写真と絵画の違い
カメラは単眼レンズであるが、人間の眼は2つあり、常にピントがあって立体的に見えるので、人間の眼で見て描いている作品はそのまま常にピントがあったかたちで描かれている。
画家の想いを託す
写実絵画は制作期間が長いため、写真のように一瞬を切り取るのではなく、描いているうちにさまざまな想いが交錯し、その想いを絵に託しつつ、画家はさまざまな試行錯誤を凝らしている。たとえば一枚の絵に四季が描かれている作品までもある。
スペインに写実専門美術館
写実絵画を描く作家は増え続けている。手先の器用な日本は世界的に見てもレベルが高い。また写実絵画の画集や書籍の出版も近年増えている。一方、スペインのバルセロナに写実絵画の美術館MEAMが2011年、誕生した。ホキ美術館は現在、同館とのコラボレーションを進めている。
現代日本の写実絵画
古典的な写実絵画の技法を使いながらも、表現しているものは新しい。各作家の価値観と美意識に基づいた新たな写実絵画といえる。画家は写実の技法を使って何を訴えていくのかが問われている。