金 利洙 展

開催概要

会期
2015年11月30日 〜 2015年12月05日
会場
Gallery Q (東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F)
参加クリエイター
金利洙
ジャンル
アート
タグ
平面

開催内容

アンフラマンスの風景

金福基(Kim Bog-gi)『art in culture』編集長

女性画家 金利洙(キム・イス)は、半透明のアクリル板やマイラー(mylar/ポリエステルフィルム)板を作品の支持体として使う。この板の前後の面にモノトーンの色彩で垂直水平の線を描き、再びこの板を二重、あるいは三重に重ねる。こうして板と板に層(layer)がつくられていく。金利洙の作品は板に描かれた平面絵画ではあるが、板の層は立体のような空間の深みを導き出す。層は描いたものと描かないもの、露わにしたものと隠れたもの、内と外の微細な‘間(between)’の世界をつくりだす。作家は層の間に流れる空気や光など、非物質的な要素までも作品の知覚概念として引き入れる。

層が醸し出す微妙なニュアンスは、アンフラマンス(inframince)の情緒によく通じあう。マルセル・デュシャンが主張したアンフラマンスは、識別できない‘超薄形、極薄’という意味をもっている。完璧な実体はないけれども、この世界に存在させようとする作用や効果を説明するときにこの概念は適用される。例えば、赤外線(infrared)は、可視的な領域のもとに敷かれているのだが、知覚することはできない。そのような無限小の差異にこの言葉を適用することができる。金利洙の作品はこうしたアンフラマンスを視覚化する作業だといえる。彼女が追求する<アンフラマンス-風景>は、実際と仮想、過去と現在の微細な‘間’、‘すきま’に深く入り込む。それは心象に含蓄される風景、あるいは既視的な世界を超え、記憶の通路を通してつくりだされる‘風景の外の風景’といってもよい。

(翻訳:古川美佳)

金 利洙 展