舟越 桂  私の中のスフィンクス

開催概要

会期
2015年06月27日 〜 2015年08月30日
会場
兵庫県立美術館 (兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 [HAT神戸内])
参加クリエイター
舟越桂
ジャンル
アート
タグ
彫刻

開催内容

舟越桂(1951 年盛岡市生まれ)は、今日の日本を代表する具象彫刻家であり、その彫刻は内外で高い評価を得てきました。
大理石の玉眼を使った木彫半身像は、繊細な表情を捉え、静謐で瞑想的な雰囲気を湛えています。それは、なによりもまず、ボディ全体を表現の根幹とする西洋的な規範から距離を置く独自の彫刻の構築でした。このような肖像性に突出した舟越の彫刻ですが、1990 年代の半ば頃から、ヤヌスや双頭、山をダブル・イメージさせる体など、異形の姿が頻繁に現れます。舟越は、そこに豊かな意味を込め、表現の拡充を図りつつ、顔と半身の関係性、全体の統一性といった造形的な課題に取り組んできたのです。
さらに、2004 年の裸体像によって、顔に焦点が当たる従来の表現と、ボディを表現の核とする西洋的な規範の両方を統合する方向に進みはじめました。それを集約的に行ったのが、翌年からの〈スフィンクス・シリーズ〉です。半人半獣の姿であるスフィンクスをモチーフにした同シリーズ以降、その異形性についてもより大きく展開され、より豊かな世界を開示しつつあります。まさに舟越の円熟を示すものといえるでしょう。
本展覧会では、以上の流れを踏まえた上で、〈スフィンクス・シリーズ〉をひとつの核とし、それ以前からの異形の流れを追い、さらに、最新作も加えて、舟越が追究してきた造形の核心とその魅力に迫ります。

1:1980 年~ 1993年
舟越桂の彫刻は、肖像性が高い胸像に代表されます。とくにその肖像性は、大理石の玉眼を使った頭部に集約されます。両眼を少し外に向けることで、鑑賞者と目が合うことはありません。それによって、彫刻があたかも遠くを見つめているような効果が生まれるのです。
まだ玉眼が入っていない《「会議」のための習作》(1980 年)を導入部とし、上に述べた舟越桂のスタイルが確立された時期の彫刻として、《ルディーの走る理由》(1982 年)などを展示します。
本展覧会では、2 期、3期との連続性を考えて、比較的モデルの個性が強く出ていない、一般性の高い人物を扱った彫刻を選んでいます。この期では、9 点出品予定。

2:1996 年~ 2003年
第1 期にあたる1992 年の彫刻《遅い振り子》にすでにその片鱗が見られるように、第2 期になると、舟越桂の作品には、胴体に大きな特徴が現れてきます。胴体を山に見立てたり、ひとつの胴体に二つの頭部を取り付けたり、様々な変形が施されるのです。
このことによって、頭部と胴体はより一体感が生まれるとともに、様々な造形的可能性が開かれます。こうした異形性は、次の第3 期においてより本格化することになります。
この期の作品としては、9 点の出品予定。

3:2003 年~現在
第2 期と第3 期の境にあたる2003 年制作の《夜は夜に》は、動物の耳をした、動物と人物の混交で、2005 年から始まる〈スフィンクス・シリーズ〉を予感させます。このシリーズに代表されるように、第3期は、異形性が強まり、そうした異形の姿によって人間という存在は何かと問いかけが高まっているのでしょう。
同時に、2003 年からは裸体が主となります。裸体表現は、ボディを具象彫刻の基本ととらえる西洋の彫刻観を示しています。そうした西洋的な彫刻と、これまでの頭部に集約されてきた自身の表現とをどのように統合させていくかという大きな課題に舟越は取り組んでいるのです。まさに彼の芸術の円熟期といえるでしょう。
この期には、新作を含む12 点の出品を予定しています。

4:素描・版画
素描は、大きく2つに分けることができます。まず、彫刻制作のための、彫刻の大きさに近いサイズのワーキング・ドローイングです。もうひとつは、様々なアイデアを具体化するための素描で、とくに異形性がよく表されたものを出品します。なお、スケッチ・ブック、挿画として描いた素描、二重性を主題にした素描なども含まれています。
作者自身が重要な表現と考えている版画も、数点出品する予定です。

舟越 桂  私の中のスフィンクス