印象派のふるさと ノルマンディー展 -近代風景画のはじまり-
開催概要
- 会期
- 2014年09月06日 〜 2014年11月09日
- 会場
- SOMPO美術館 (東京都新宿区西新宿1-26-1)
- ジャンル
- アート
- タグ
- 平面
開催内容
印象派だけではない、ノルマンディーを愛した画家たち
フランス北西部に位置するノルマンディーは、海に面した風光明媚な地方として知られています。19世紀後半、鉄道の敷設にともない、パリ市民の憩いの場となったノルマンディーは、フランス有数のリゾート地として発展してきました。しかし、これに先立つ19世紀前半、身近な自然の風景を描いた近代の風景画家たちは、いち早くノルマンディーの美しさに気づき、その景観を画面にとどめようとしました。本展覧会はセーヌ河口に位置する港町ル・アーヴルのアンドレ・マルロー美術館の協力のもと、フランスを中心に国内外の美術館が所蔵する作品から、自然や歴史遺産といった「絵になる風景」の宝庫、ノルマンディーの魅力をとらえた油彩、素描、版画、写真など約80点を展示し、ノルマンディーが近代風景画の成立と発展に果たした役割を探ります。
1 「絵になる風景」の発見: ノルマンディーの風景と歴史遺産
ノルマンディーには美しい自然はもちろんのこと、ゴシック教会やロマネスクの修道院など、歴史的な建造物や遺跡が数多く残されています。また、中世の面影が残る古都ルーアン、港湾都市ル・アーヴル、古い漁港の町オンフルールなど、さまざまな名所にも恵まれています。こうしたノルマンディーの「絵になる風景」を見出したのが、ターナーらイギリスの風景画家たちでした。18世紀末頃から、イギリスでは自然を崇高なものとみなすようになり、風景画というそれまで重んじられなかった絵画の分野に、新たな関心がよせられるようになったのです。彼らはノルマンディーを訪れ、その美しい景観を自分たちの作品の格好の主題として取り上げました。
2 近代風景画の成立: ロマン主義から写実主義へ
フランスの絵画史で「風景画」がその地位を確立するには、19世紀まで待たなくてはなりません。聖書や神話などを主題とした「歴史画」を最高位とする絵画のヒエラルヒーにおいて、風景画の地位は低く、多くの場合は歴史画の背景として描かれていました。しかし19世紀に入ると、イギリスの風景画の影響や自然に対する関心の高まりとともに、フランスでもロマン主義を中心に、風景を描く画家が登場しました。やがて19世紀の半ばになると、現実に即した主題を描いたクールベ、戸外で自然を直接描くことを試みたバルビゾン派など、ありのままの風景に関心を持つ画家たちが、その主題を求めてノルマンディーに集まりました。
3 ブーダンとその周辺の画家 印象派の先駆者たち
バルビゾン派の登場によって、フランスでも現実の風景を描いた風景画への関心が高まっていきました。しかし、屋外に出て自然を前にして描くのは準備段階にすぎず、完成作品はスケッチなどをもとに、アトリエで仕上げられるのが一般的でした。一方、ヨンキントやブーダンら「外光派」と呼ばれる画家たちは、刻々と変化する自然の表情を確実にとらえるために、屋外での制作に取り組みはじめました。自然のありさまや、そこで生きる人々の姿をありのままに描こうとする試みは、やがて印象主義に受け継がれていきます。鉄道の開通により、パリから気楽に通えるリゾート地となったノルマンディーは、こうした屋外制作に取り組む画家たちに格好の制作場所を提供しました。