加納 光於 《鳥影-遮るものの変容》
会期: 2010-12-06 - 2010-12-25
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
トークイベント
平面
開催内容
加納光於(かのうみつお)は1933年東京生まれ。独学で銅版画を学び、’50年代半ばから作品を発表。’60年代にはリュブリアナ国際版画ビエンナーレ、東京国際版画ビエンナーレなど、数々の国際展で評価を高め、日本を代表する作家のひとりとなりました。その後’80 年代からは色彩豊かな油彩作品を発表。国内外の美術館で個展を行い、2000 年に愛知県美術館で大規模な個展が開催。’05 年には再度、リュブリアナ国際版画ビエンナーレの日本代表として版画作品を出品。近年はほぼ隔年ごとに新作の大作を発表し、精力的に活動を続けています。
加納の作品タイトルは、文学や生物学に関連するものが多く見られますが、今回は展覧会タイトルにもなっている《鳥影-遮るものの変容》。加納は60 年代後半に世界一豪華な広場と称されるブリュッセルのグレンプラスを訪れ、その際、野鳥の市に出会いました。沢山の渡り鳥が鳥かごの中で、ある瞬間一斉に同じ方向に向かってホバリングしたシーンが、その衝撃とともに生命の不思議さを感じ、今でも目に焼きついているといいます。今回の展覧会タイトルにもなっている新作は横7mにも及ぶ大作で、抽象的で力強い今までの作風はそのままに、新たに具体的なシルエットにより、イメージが強調されるものとなりました。
さらにもう一つ、紙に描かれた作品シリーズのタイトルは、《羽音-J.M.W.ターナーの不穏に倣って》。イギリスを代表するロマン主義の画家ターナーは写実的でアカデミックな作品から、あるきっかけを境に一転し「色彩とは何か」というテーマに辿り着き、より抽象的な作風へ変貌していきます。加納は80 年代からそれまでの単色の銅版画から、色彩の洪水ともいわれる色鮮やかな油彩を描き始めました。それは、色彩への強い関心が発端となったもので、作品は常に驚くほどの執着ともいえる色彩の場面が繰り広げられてきました。前回の作品ではそれまでとは変わって落ち着いた色調のグラデーションが見られましたが、今回は加納独特の力強さはそのままに、さらに違ったかたちのシルエットが加わり、よりふくよかで広がりのある様々なイメージを見せてくれます。
今回の個展は、1年半ぶりの新作展になりますが、油彩、カンヴァスの大作(194.0x715.0cm)の他、油彩、紙の20数点を展示いたします。 次々と新たな展開を見せる加納光於の新作をお見逃しなくこの機会に是非ご高覧下さい。