アレグラ・パチェコ | Boobs in Japan
開催概要
- 会期
- 2013年07月20日 〜 2013年08月10日
- 会場
- GALLERY MoMo Projects (東京都港区六本木6-2-6 2F)
- 参加クリエイター
- Allegra Pacheco
- ジャンル
- 写真
- タグ
- レセプションパーティー、写真
開催内容
GALLERY MoMo Projectsでは7月20日(土)から8月10日(土)までアレグラ・パチェコによる個展「The Boobs in Japan」を開催致します。
アレグラ・パチェコは1986年コスタリカ生まれ、2011年スクール・オブ・ビジュアルアーツ(ニューヨーク)写真学科卒業、現在ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン)修士課程に在籍しています。
このたびバッカーズ・ファンデーションとNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT)の招聘により、東京でのアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに参加し、その成果を山本現代(白金)にてグアテマラ出身のアルベルト・ロドリゲス・コジアと共に発表するのを機に、幅広い表現活動の一端を当ギャラリーにて展示致します。
パチェコは主に写真やドローイングを媒体に、それぞれの国の生活を通して、社会や都市構造の違いに目を向け、異邦人だからこそ見えて来る不思議さや思いがけぬ出会いを写し取ります。今般の山本現代での展示はそうした視点に立った写真やドローイング作品が予定されていますが、当ギャラリーでは2012年コスタリカで開催された「The Boobs (乳房)」を日本版として再構成し展示する予定です。
この展示では、コスタリカのラ・カルピオ地区の女性たちとの共同作業により制作された乳房の形をしたソフト・スカルプチャーで会場を埋め尽くし、作家自身が壁一面に描いた壁画で包み込み、多くの女性の共感を得ました。この立体作品の中には、企業で廃棄処分になった未使用の生理用ナプキンやおむつが内容物の一部として用いられました。制作に協力した女性たちは人道団体で働く移民女性で、「The Boobs」は彼女たちの労働環境や社会的な立場を想起させ、社会の中で不可視になりがちな抑圧構造をユーモラスに浮かび上がらせました。また、この作品の売り上げは全て、その地区の女性支援にも充てられました。
女性のシンボルとも言える乳房は、性的な意味合いと同時に、生まれたばかりの子供が最初に口にするものとして、生命の始まりの意味合いも含まれています。そうした点で、彼女の作品は乳房という体の部位を表す言葉よりも、稚拙な「おっぱい」という言葉の方がしっくりきます。この立体作品の内容物として女性用ナプキンやおむつを用いたのも、女性しか持ちえない生理現象と、生み育てるという女性の持つ特性を内包させ、それらをボリュームのある表情豊かな乳房で包み込んだ点に、作家の女性に対する慈しみが感じられます。
コスタリカでの展示は母として、妻として、また労働者として苦しい環境に立たされている女性たちを示唆し、多くの支持を集めました。日本で抱える女性問題はそうしたコスタリカの女性の持つ問題ほど深刻ではないものの、先進国に比べまだまだ多くの課題が山積しています。
ノマドとして、ニューヨーク、ロンドン、東京と、それぞれの世界を見てきた作家の視点で構成されたアレグラ・パチェコの「The Boobs in Japan」展を通じ、日本人が今まで気づかなかった我々が抱える女性の問題を浮き彫りにし、異なる社会と文化から見える日本のジェンダーについて考える場となれば幸いです。
また、コスタリカでの制作過程と同様に、60歳前後以上の日本の女性たちに今回展示予定のクッションなどの制作にご協力をお願いし、作家や作品制作を通して、文化交流、世代間交流の場を作り、その様子を記録した作品も展示する予定です。今回、作家が年齢層を限定した理由は、高齢社会の日本を反映させる意味合いだけでなく、日本における女性の文化の発展や社会的地位において大きな影響を与えてきた団塊の世代を映し出すことで、どのように日本社会が女性の権利や問題に対して取り組み変容してきたかを浮き彫りにしたいという意図があります。アレグラ・パチェコが持つ多様な表現を山本現代の展示と合わせてご高覧いただければ幸いです。
[アーティストコメント]
私はふざけた個人的な企画として、 象徴の探索とその意味、また象徴が私たちの周り世界にどのように情報を与え、影響を与えているかをテーマとしてこのプロジェクトを始めた。
また、常に私はとても強いフェミニストの信念を抱いていていたが、大抵汚い言葉を使うことを申し訳なく感じていた。
このBoobs Projectは中立的で偏見のない状況で共有される会話や共同作業、個人的な話の交換の場として、また公平な無党派的な方法で共有されるフェミニストの理想のプラットフォームとして役立っていると感じている。
面白さやかわいさ、性的であると同時に子育や母性のような『おっぱい』は、結局のところ性別を越え、私たちを哺乳類とさせる主要な要素のひとつとして様々な面で私たちを結びつけている。
この企画を実行することは 自分の信条を表明し、探ることをさせただけでなく、異なる社会や文化の背景を持つ幅広い人々と共に働く機会を与えてくれている。
前回のBoobs の企画で、私はコスタリカの危険なスラム街であるかカルピオ地域に住み、社会的弱者のニカラグアの移民に焦点を当てた。その女性たちの話を広め、彼女たちをアートの世界に巻き込み、女性問題と個人の問題に対する見解を共有すると同時に有給の仕事という形で彼女たちに安心感を与えられたことはとても満足いくことだった。
このBoobsの企画を日本に置き換えた場合 、私は女性であることの違った側面や年配の世代の女性に焦点を当てることに集中したかった。
日本の年配者への尊敬や伝統、文化や手作りへの敬意はこの企画をより日本の懸案事項へシフトするのに大きな影響を与えように思う。西洋の文化が広がって(アジアに影響を与え始めている)ことに気づいたのだが、私が信じる他の個人的な関心は特に若者文化の支配階層の私たちの時代を悩ませている。
この現象が多くの事例を通して見られ、現代のポップカルチャーにおいて、ファションとアートの世界ではさらに鋭く見ることができ、全体のうち多くの 懸念や年配の世代の利益を見捨てていることに気づいた。
これらすべての理由と他の理由から、私は、日本の団塊の世代の女性から、このプロジェクトへ参加してくれるよう模索した。 彼女たちは自身の世界へ入る窓を用意しただけではなく、初めてミニスカートを着たり、恋愛結婚が増加したり、大学へ行き働きに出始めた最初の世代で、魅力的で強力な世代であり、彼女たちは社会変化をもたらす大きな力を持っていた。
多くを経験し、彼女たち自身の社会の中で様々な変化を作ることを助け、全ては好奇心と創造によって導かれた学びや自分の行動範囲外へ参加し、踏み出す女性と一緒に働くことは、とても充実していた。
個人的な話を聞かせてくれ、女性問題や日本で今と昔で女性としていることについての個人的な意見を共有してくれたことなどこの企画の文脈に含まれている全てに感謝しています。この企画は彼女たちの遺産と世界の変化の為に促進活動している全ての女性たちに捧げられます。 親友であり姉のジュリア・ボルボンに特に捧げます。
2013 年 アレグラ・パチェコ