手塚治虫展
会期: 2013-07-21 - 2013-09-01
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
漫画・アニメーション
開催内容
この度、長島美術館では2013年度の特別企画展として、「手塚治虫展」を開催する運びとなりました。
この展覧会は、巨匠、手塚治虫が生み出した鉄腕アトムが2011年にデビュー60周年を迎え、また10年を費やして完成させた映画「ブッダ」が公開され、更に映画「ブッダ2」の製作を記念して開催するものです。作家、手塚治虫が生涯で描いたマンガやアニメの紹介と、手塚治虫の歴史を展開することにより、彼が未来へ託したメッセージをご紹介致します。手塚治虫が命を吹き込んだ、多くのキャラクターと物語は、さまざまなメッセージを私たちに届けてくれることでしょう。
本展では、作家・手塚治虫が生涯で描いた約15万枚に及ぶマンガ原稿と、独自の世界を切り開いたアニメーション約70作品の中から、約170点の原画・資料・映像を厳選して、手塚治虫が現代に伝えるメッセージとしてご覧いただきます。
第1部◆手塚治虫の誕生
手塚治虫は1928年11月3日、大阪府豊中市で、父・粲(ゆたか)、母・文子の長男として生まれました。現在は、文化の日と呼ばれるこの日は、当時は明治節と呼ばれたことから、その1字をとって「治」と名付けられました。5歳の時に、宝塚に引っ越し、24歳で上京するまでの約20年間を兵庫県宝塚市で過ごしました。当時の宝塚はモダンな歌劇の街として全国的に知られる一方で、豊かな自然にも恵まれていました。
手塚はこの街で友人たちと昆虫採集を楽しんだり、家族と宝塚歌劇や映画を観たりしながら少年時代を過ごしました。しかし一方で戦争という辛い体験をしたのも宝塚時代でした。
幼い頃からの様々な経験は、後に手塚の制作に大きく影響していきます。このコーナーでは、宝塚時代の彼の足跡をたどりながら、手塚治を育んだものを本人のコメントと資料によりご紹介します。
第2部◆作家・手塚治虫
手塚治虫は17歳でデビューを果たしてから60歳でこの世を去るまでの43年間にわたり、第一線の作家として活躍し続けました。そんな手塚治虫には作家として二つの顔がありました。ひとつは「マンガ家」そして、もうひとつは「アニメーター」の顔です。
マンガ家・手塚治虫は、より迫力のある構図や、ストーリー性を感じさせるマンガを目指し「ストーリーマンガ」と呼ばれる新たなマンガ表現の確立に努めました。また、アニメーター・手塚治虫は、国産初の30分テレビアニメシリーズの放送を成功させるなど、アニメーション界における「不可能」に挑戦し、新たな可能性を広げました。そして、その一方でアニメーションの「動き」の研究にも力を注ぎ、数々のアニメーションを制作しました。従来の常識にとらわれることなく、新しいアイディアを作品に取りこんでいくことが、作家・手塚治虫の基本的な姿勢でした。
このコーナーでは「新寶島」をはじめ、「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」「陽だまりの樹」「ルードウィヒ・B」など、代表的なマンガ作品の貴重な直筆原稿を多数展示するとともに、「鉄腕アトム」「W3(ワンダースリー)」「ジャングル大帝」「悟空の大冒険」「リボンの騎士」などのセル画・動画、絵コンテも展示。興味深い制作方法やその効果などもあわせてご紹介します。
第3部◆手塚治虫のメッセージ
手塚治虫はマンガやアニメーションの物語の中に、読者へのメッセージを込めていました。その思いを手塚自身、以下のように述べています。
“僕は今までたくさんマンガを描いてきました。けれど、マンガにはお話がついています。
そのお話はいい加減なお話じゃなくて、できたら僕がこういうことを相手に伝えたいな、
こういうことを読者に伝えたいな、こういうことを子どもたちに訴えたいな、と思う一つ
のテーマみたいなのがあって、そのテーマを僕はそのマンガの中に入れたわけ。
だからそのテーマを読んだ子どもたちは、読者が「わっ、手塚治虫ってこういうことを
言いたかったのか、このマンガはこういうことを言いたかったのか」と受取ってくれる。
これが僕はマンガの一番大きな強い点だと思うんです。“
このコーナーでは「ジャングル大帝」では環境へのメッセージ、「アドルフに告ぐ」では、反戦、平和へのメッセージ。「火の鳥」「ブラック・ジャック」では、人間にとっての永遠のテーマ「生命」についてのメッセージ。今展では様々なメッセージを作品とともにご紹介します。また、手塚治虫が10年以上かけて完成させた大作「ブッダ」が映画化され、更に関する作品・映像もご覧いただけます。