三菱一号館美術館 名品選2013 ― 近代への眼差し 印象派と世紀末美術
会期: 2013-10-05 - 2014-01-05
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
油彩画
平面
近代アート
開催内容
ルノワール、モネら印象派。そしてルドン、トゥールーズ=ロートレック、ヴァロットン。19世紀から20世紀初頭にかけて、フランス・パリを中心に、互いに刺激し合い、影響し合った画家たち――。この時代は、ヨーロッパの美術家たちが新しい表現を模索し、生み出していった、美術史上もっとも豊穣な時代のひとつであり、大きな変革期でもあります。
本展では、当館のコレクションの中から、その後の芸術に大きな影響を与えた29人の美術家たちが紡ぎ出した、夢と理想、自由の輝きに満ち溢れた作品群を展示します。収蔵後初公開を含む149点の選りすぐりの名品をご堪能ください。
■館長メッセージ
当館は、2010年4月の開館以来、毎年3回あまりのペースで展覧会を開催してきました。その間、折に触れて所蔵作品を展示することも試みてきました。「三菱が夢見た美術館」や、「もてなす悦び」、「トゥールーズ=ロートレック」、「ルドンとその周辺―夢見る世紀末」、「シャルダン―静寂の巨匠」などの展覧会では、その量の過多はありますが、様々な形で、展覧会コンセプトに沿って、三菱一号館美術館のコレクションの一部を公開しました。この夏の「浮世絵Floating World―珠玉の斎藤コレクション」においても、浮世絵の傑作に伍して、当館のトゥールーズ=ロートレック・コレクションおよび、版画集『レスタンプ・オリジナル』から、幾つかの作品を選んで展示いたします。
三菱一号館美術館は、その運営のミッションにもあるように、東京・丸の内という地域的特性と、明治期に由来する復元建築に立脚するという個性を大いに意識しながら、近代の美術、都市の美術、東西交流などをキーワードとして展覧会を構成しています。そして同様の観点から、19世紀末の作品を中心に作品収集も続けてきました。美術館活動、そして展覧会活動の根幹が、収集・研究・展示のバランスのとれた動きの中にあることを確信しているからです。
そしてこの秋、当館のコレクションの大きな部分を、一貫性のあるテーマに沿って大々的な形で公開することといたしました。今回は、近代美術史上最も輝かしい創造の精神に満たされた19世紀の作品の中から、印象派や象徴主義、ナビ派の画家たちを中心に展覧いたします。そうした中には、ミレー、ルノワール、モネ、トゥールーズ=ロートレック、ルドン、ボナール、ヴァロットンなどの名があり、当館の西洋美術コレクションの主要作品が概観できる構成となっています。
公開済みの作品もあれば、今回新たにお披露目されるものもあり、総点数は149点を数えます。当館コレクションの特徴の一つは、トゥールーズ=ロートレックやフェリックス・ヴァロットンを始めとする世紀末の作家たちの、きわめて保存状態の良い第一級の版画作品を纏まった形で収蔵していることですが、他にも、油彩によるルノワールの美しい《長い髪をした若い娘(あるいは麦藁帽子の若い娘)》や、昨年初公開されて大変話題を呼んだ、ルドンのパステルを使った大装飾画《グラン・ブーケ(大きな花束)》など、多彩な作品が展示されます。
まだ緒に就いたばかりの、驚くほど若いコレクションですが、どうぞこの機会にご堪能いただきたいと存じます。
三菱一号館美術館館長
高橋明也