吉仲太造 「 1960-1980 回顧 VII 」
会期: 2013-07-23 - 2013-08-03
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
平面
開催内容
1960年日米安保条約改定、第二次世界大戦後三十数年の間に社会、文化は広範囲にわたり急激な変化を遂げてきました。美術においても従来の美術の概念そのものに大きな変化があらわれ、読売アンデパンダン展を機に独自の新しい表現領域の追及が始まった。吉仲太造は1955年岡本太郎の招きで、二科九室会に参加した。その頃は鮮明な色彩によって機械、物質や生き物のせめぎあいをダイナミックに表現している。
1959年二科会を退会後、表現は一変し、吉仲の表現探求は、生きものから物質へと注がれる。1961年国立近代美術館「現代美術の実験」展ではボタン、カミソリの刃や新聞紙をコラージュした抽象的構成の作品を展示している。1962年-’63年には集団α展(末松正樹、馬場彬、村上善男ら)を開催、数本の釘を組み合わせ綿でとめ、これを単位として配列構成する仕事を発表した。「何も描かれていないもの、作られていないものでありながら、はっきりと存在をしめしているもの、従来の絵画とは異なったもの」を目指した吉仲の問題意識は、もの派の問題設定とさほど遠くなく、むしろ先行しているとも考えられる。ネオ・ダダ的表現ではあるが、新聞紙の株式欄と不動産欄のみをコラージュした作品は、とても特異で美術史上においても異彩を放っている。吉仲は約40年間の画業の中、日本人アーティストには珍しく次々と表現方法を変えたが、それは絶えず社会やアートに問題意識を持ち、真摯に向き合っていたからといえる。今展では1960~1980年代の作品を中心に、吉仲の変貌の軌跡に時代の移り変わりを読み解く展示となる。