乾漆collaboration展
会期: 2013-05-01 - 2013-05-13
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
クラフト
展覧会タグ:
器(茶道具・食器・花器)
伝統工芸・伝統芸能
漆
開催内容
漆芸家渡邊博之氏と浄法寺漆掻きのコラボレーション展示。
世界文化遺産や国宝の修復にも使われている浄法寺漆。
世界最古の漆製品は約1万年前の北海道の遺跡から発掘された麻と漆を使った乾漆。
麻布をキーワードに 素材、作り手と漆掻きさん達とのCollaboration作品展です。
なぜ浄法寺漆にこだわるのか。それはなんといってもかぶれです。中国産漆と比べると本当につらいです。これだけひどいかぶれを起こす漆なので、塗膜や接着力が中国産漆より強くないはずが無い。科学的には解明されてないのですが、かぶれてみると本当にそう思います。三内丸山遺跡で漆木の新種が見つかり、その系統の漆を使っていたとは驚きでした。漆掻きさんは木を見て漆を掻き取るといいます。作り手は漆を見て器を作ります。国産漆だけに変えた今では、中国産漆を使っていた時と作風も自然と違ってきました。自分の思い通りにいかない漆に自然の怖さを感じます。会場で山里の雰囲気を感じてもらえれば幸いです。
会場では漆に関するスライドショウ。最新の浄法寺漆の噂話。漆の木や樹液採取道具。実際に毎日使っている椀。価格についての疑問をわかりやすく展示するコーナーも用意しています。 スライドショウでは中国から伝来したと思われていた漆木、技法がもしかすると日本独自のものの可能性がある話や、ガシャガシャと他の食器と洗える漆の扱い方や修理の仕方など、身近な漆の疑問にお答えできるような内容になっています。ズボラなお手入れでも大丈夫な漆器で、制作途中の無駄を省いた、お値段までもエコな漆のお椀もあります。 化学合成素材が不安と思われている方には、トレーサビリティーに気を使った天然素材だけで作った器もあります。
展示作品数は日常使う漆器を中心に約60種類、150点。
かつてはジャパンと呼ばれていた漆工芸。その原材料である生漆の国内総生産量は、輸入量のわずか2%ほどです。最近は中国漆の輸入量が増加し国産漆が減少しているというますます厳しい状況になっています。品質はいいのかどうか証明できていないし扱いづらい、価格が高い、品質が一定しないし良し悪しの判断がつきにくいからでしょう。浄法寺に5年間住み、現在までに使った量は200kg。経験を生かして品質が高い漆を選びました。それはお客様が気楽に楽しんでいただけるような普段の暮らしの中で使う漆の器だからこそ必要です。
ご高覧いただきますようお願い申し上げます。
追伸 漆は一度固まるともうかぶれる心配はありません。制作終了して一定期間寝かせた作品だけを出品しておりますので、どうぞご安心ください。