長谷川直美 展
会期: 2012-10-22 - 2012-10-27
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
平面
開催内容
[作家コメント]
「主なる神は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた。」(創世記2章15節)
人間が創り出した文明や所業そのものが、この世界の美しさや幸福を脅かしていると思ったことはないでしょうか。何故人間は存在するのでしょう。人間が地球環境に、また動植物たちに迷惑をかけ続け、同じ人間同士でも命や幸せを尊重できないでいるというのに。そんな人間に許されている大切なことのうちのひとつは、この世界を創られた神の存在を知ることではないかと考えて参りました。目に入る美しい景色や動植物、生命の輝きは、私に大きな力の存在を感じさせました。そのような美しい生命の源を如何にして讃えたら良いのか。それが私の関心でした。けれど、ニューヨークの同時多発テロが起こり、まる一年が経った2002年9月11日、その大惨事のあった跡地に立った経験が、私の中でほんの少し何かを変えてしまったのだと思います。圧倒的な暴力の痕跡と、死者を悼み悲しみに暮れている人々を間近に見た時、世界は私たちひとりひとりの人間の心に委ねられているのだということを感じたのです。
私たちはもう、食物の溢れた豊かなエデンの園で神と共に暮らしてはいません。
私たちは、今住んでいるこの世界を大切に守っているでしょうか。フクシマのある地域では、放射能の影響等で耕すことさえできなくなってしまったのでしょう。繰り返し起こる災害によって或いは事故によって、その痛みの中から、神が語りかけてくる声に耳を傾けなければ、と思います。私たちは破壊者として存在しているとは思いません。それどころか、神はひとりひとりの命の誕生に祝福を与え、この大地を委ねて下さっているのでしょう。
私はいま、この世界で暮らす人々を描きたいと思っています。それは特別な人ではなく、この世に等しくあるひとつひとつの“命”だからです。