地点 -POU STO-
会期: 2012-10-28 - 2012-11-24
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
レセプションパーティー
現代アート
開催内容
この度KAYOKOYUKIは、10月24日[水]から11月24日[土]まで、青木真莉子、有賀慎吾、土居下太意、野沢裕の4人のアーティストによる展覧会『地点-POU STO-』を、千代田線沿線の3つの会場にわたって開催いたします。会場は、西日暮里の「TALION GALLERY」(10月28日[日]〜11月24日[土])、湯島の「JIKKA」(11月9日[金]〜24日[土])、もう一つは表参道にて行われる青参道アートフェア(10月24日[水]〜11月4日[日])の「JAMIN PUECH」ショップ内です。3会場の会期が異なりますので、足をお運びになる際にはご注意頂けますと幸いです。
青木真莉子(1985年生まれ)が扱う素材は熊や鹿、海亀の剥製から、カラフルなラメ素材、蛍光色、パフォーマーとしての身体まで、物質を愛しい存在へと昇華させる道具として選ばれています。剥製の首を切り落とす、あるいは仮面を剥ぐという行為は、その物を視覚的イメージから解放し自由を獲得する為の手段であり、光を鮮やかに反射するようにコーティングされた断面は、生き物として、また一人の女性としての存在そのものを映し出す鏡としての役割でもあります。
有賀慎吾(1983年生まれ)の作品は、黄と黒の2色を基調に、身体的なイメージを定着させたペインティングや、体験を促すように入り口を用意されたインスタレーション、行為や現象を記録した映像など、様々なメディアから構成されています。事物の境界、分断されたかのように見える線は、例えば一枚の布によったシワ、地球上を走る水脈、体内に通った血管など、網の目状に繋がったものとして転換することもできます。それは共感覚による知覚を引き起こし、新たな世界との連関を展開する可能性の鉱脈でもあります。
土居下太意(1989年生まれ)はメディアアートを使って、自分が眠っている時の映像や、鳥、車の軌跡などをプログラムに組み込み、鑑賞者も役者として参加させながら、人間の様々な反射に機械が反射で答え、また人間にかえるような構造を作り上げます。大きさの異なる何台ものブラウン管や液晶モニター、スピーカー、自動販売機や電子ピアノなど、一見すると無造作に少し乱暴に配されたそれらの機材は、管くだとなるケーブルを通して、多重のプログラムが時にエラーを伴いながら関連し合い、自走しています。自らの身体を使ってパフォーマンスも行う土居下にとって、どちらも作品を構成する支持体として同等のものであり、多様なデータが流れ続けることに対する抵抗を表しているとも言えます。
野沢裕(1983年生まれ)は、自らが旅をする中で、また日々の生活の中で偶然出会った風景、ホテルの部屋にかかっていたベルベットのカーテンや、モロッコの砂漠で風にのってフッと飛んできた白い木の枝、部屋の窓から見える鳥の飛ぶ様子など、あたりまえに通り過ぎてしまうような日常の体験を、「ちょっとだけ良くして見せたい」と言います。ドローイングやペインティングに留めたイメージを、体験に合わせて写真や映像、立体に起こし、展示空間に少しだけ手を加え風景を演出していきます。
場所も性質も異なる3会場にて開催されるこの展覧会では、ギャラリーの次世代を担う4人のアーティストをご紹介いたします。彼らは同じ時代に生きながら、それぞれが異なる、独自に編み出されたシステムによって素材を選び方法を選択しています。それは例えば、同じ道具を1つとっても全く別の用途で使用されていたり、同じ風景の前に立っていても、それを構成していると感じる要素は様々であるということです。
タイトルとなっている『地点』とは、地上にポイントされた、ただの1つの点という意味でしかありません。どこにでもありながら、だがしかしそこにしかない独立した『地点』が、地球上に無数に存在しているということ、またその様子を目の当たりにするということは、一定の『地点』から同じように未来へと向かう私たちにどのように映るでしょうか。それぞれの『地点』の可能性を探る契機になることを願っています。