島津さゆり個展「架空庭園」
開催概要
- 会期
- 2026年11月03日 〜 2026年11月08日
- 会場
- The Artcomplex Center of Tokyo (東京都新宿区大京町12-9 アートコンプレックスセンター 2F)
- 参加クリエイター
- 島津さゆり
- ジャンル
- アート
開催内容
硝子の結界の向こうに、静かに光を湛える庭がある。
?かつて世界の奇異なる断片を蒐集し、自らの手で秩序立てようとした「博物趣味」の世界に、私は深く魅せられてきました。
地中深くで悠久の時をかけて結晶化した鉱物は、地球という巨大な系が遺した純粋な形態の詩…その冷徹な幾何学と淡い燐光に触れるたび、私は自然科学への無垢な憧憬と、世界の根源への回帰を覚えます。
古来、庭園とは自然を愛でる場であると同時に、人の知恵と手仕事によって外界の無秩序を調律し、理想の世界を囲い込む空間でもありました。
生きた庭を歩くとき、私たちは風の湿度や土の匂い、木漏れ日の揺らぎを肌で受け止め、心身を深い充足で満たします。
本展「架空庭園」は、その庭園という形式を借りて立ち上げる、アッサンブラージュ(異質な事物を寄せ集め、新たな現実を編む試み)です。
?画面越しに溢れる情報や、整然と生成されるデジタルの光に余暇を奪われがちな今だからこそ、私たちは手で触れ、五感で対峙できる「確かな物質」を必要としているのではないでしょうか。
滑らかに削り出された木製台の重み、独自技法のステンドグラスが光を屈折させて落とす影、そして地殻の記憶を宿して発光する鉱物と、羽ばたきを止めた硝子の蝶。
それらは、アルゴリズムの予測を超えた実在の質量を持ち、直に対面した者にしか届かない静かな興奮と手触りをもたらします。
この庭を日常の傍らへ迎え入れるということは、記号化された世界から自らの感覚を奪還し、現実の時間の外側に佇む、静謐な夢の領分を手に入れるということです。
どうぞ、硝子の境界に顔を寄せ、息をひそめて覗き込んでください。
実物と対峙する体験のなかで立ち現れる、あなただけの「架空庭園」の扉を開きます。