海を借り、また預けるために
開催概要
- 会期
- 2026年10月03日 〜 2026年10月31日
- 会場
- artstudio NAZUKARI WAREHOUSE (千葉県千葉県流山市名都借827-3 名都借倉庫2F)
- 参加クリエイター
- 川野昌通
- ジャンル
- アート
- タグ
- 彫刻、現代美術、contemporaryart、展覧会、exhibition、sculpture
開催内容
10月のartcenter NAZUKARI WAREHOUSEの展示は、川野昌通の個展を開催します。
川野は近年、海・山・川など身近な自然から採取した素材に自らの身体を介在させ、その痕跡を別のかたちへと変換する彫刻作品を制作してきました。
本展では、瀬戸内の海水からつくられた1,000kgの塩を起点に、塩、鉄、鉛、そして再び塩へとかたちを受け渡していく新作を発表します。素材が移り変わるなかで、雌型と雄型、空洞と実体、受け取るものと受け渡すものの関係は反転していきます。
自然から借りたものを、身体を介して変化させ、再び手放していく。川野の実践を通して、彫刻における身体と素材、所有と循環の関係を見つめる展覧会です。
【展覧会概要】
私は近年、海・山・川から土砂を採取し、それらに自らの身を埋めて型どることを起点に制作してきた。身近にある自然から借りたものを素材として扱い、自らの身体を介して別のかたちへと変えていく。その過程で生まれたものを、自分の手元に留めるのではなく、またどこかへ預けたいと思った。
本展では、瀬戸内の海水からつくられた1,000kgの塩を用い、自らの身体を塩に埋め、鉄、鉛を経て、再び塩へとかたちを移し替えていく。通常、像を生み出すための手段である雌型は、最終的に雄型へと転換し、手段と目的の関係が反転する。こうして、素材はひとつの用途に留まることなく、かたちと役割を変えながら次へと渡されていく。
借りたものをまたどこかへ預けるために彫刻をつくる。いつか還ってくることを楽しみにして。
川野昌通 / 1995年生まれ。個展 2020年 “徴表” ユマニテbis 東京 2021年 ”境界の境界線” 金生丸倉庫 兵庫 2023年 ”土,鉄あるいは身体について” 土のミュージアムSHIDO 兵庫 現在 大阪芸術大学非常勤副手 所属 一般社団法人IKUHART企画
【寄稿文】
川野の制作には、自然から採取できる素材に自らの心身を埋没させ、型を取り、最終的には人体像や人体の形という確かな形を与えるというプロセスがあります。今回の展示では、瀬戸内の海水から採取された塩を素材として、新たなる像を生み出しています。
大地に肉体の痕跡を刻んだアナ・メンディエータ(キューバ,1948-1985)や、身体を金属に置換したアントニー・ゴームリー(イギリス,1950-)の系譜を感じさせつつも、川野には一貫した独自の思想があります。自らの身体そのものを「物質が交差し変換される場」と提言している点で、彼らが表す身体とは大きく異なるのです。
変換と反転を繰り返すこと。そこから窺えるのは素材と身体の境界、外側と内側、そして人間との本質的な関係を見つめる眼差しです。それは「作る」「造形する」という従来の枠組みを超えて、素材を理解し変化を導くような「偶発的なプロセス」そのものと対峙することに他なりません。こうして生み出される形は、素材が素材を通じて新たに出現させた、ありのままの姿と言えます。形を与えられた素材が川野の手を離れたとき、この場所でどのように共鳴するのか。その答えは、空間の中に委ねられています。ぜひ会場にてご体感ください。
中根絢女 / 1986年生まれ。 2025年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程 工芸領域(鋳金) 修了 博士論文“からだを解く-プロセスの境界-” 現在 山梨大学 非常勤講師、女子美術大学 非常勤講師 所属 日本鋳金家協会、茨城一陽会