「 神様は、わたし / うまどしのいたずら 」

開催概要

会期
2026年10月08日 〜 2026年10月18日
会場
IAF SHOP* (福岡県福岡市中央区薬院3-7-19-2階)
参加クリエイター
和田聡文
ジャンル
アート

開催内容

3年ぶりに個展を行います。

障子紙に描かれた馬の絵と赤い裸女、目と乳房。
作り物の白い馬の頭部とペーパーフラワー。
以上と音響によるインスタレーション。

反転して、輝く巨大な白い花に照らされる、
全裸男性の尻と蛆虫の地獄絵図。

輝くパネルで示される性的資本の偉大な力と、
それに照らされる泣き言とを記した
テキスト群を併設します。



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でかい障子紙に、馬と馬と馬と、おっぱい。
下げ物と、たくさんの花々。
そして、馬。

輝くパネルと、照らされる泣き言。目と耳。
惨めな、男の尻と、光る花。
そして、蛆。

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この画廊のひと隅で、ちょっと前のこと。
ある大学の先生がトーク会準備中に。
こんなことを言っていたんだよ。

「あのロボットアニメこそが、現代の若者の神話かも。」

で、でね。思ったんだよ。
アラウンド還暦のおっさんとしてはさ。

「いやいや、違うだろう。」
「さすがに昭和/平成のロボットアニメは違うだろう。」

でさ、でもさ。
一つの疑問が脳みそに注入されたんだよ。

「で、何が神様?」

答えは直に出たよ。
ポンと。

ひり落されるニワトリの無精卵みたいに。

   ・
   ・

「神様は、わたし」。

   ・
   ・

あの、あのね。でも、でもね。

「わたし」って、僕のことじゃないよ。

全ての人にとっての、「第一人称」である「わたし」。

「主役は私」とか、
「わたしらしく」とか、
「ほんとうのわたし」とか、
「わたしが報われる〇〇」とか、
「私が、わたしであるために」とか、
「もっと素敵なわたしになりたい」とか、

不変、唯一無二、絶対善、正義なるものとして
よくよく語られ、讃えられ、歌われる、

「わたし」。

「死んでもいいから健康になりたい」ぐらいの勢いで、
今の偽物の自分を脱ぎ捨てて、死んでも良いから、
合一、一体化、帰依恭順しなければならない

本当の「わたし」。

「日本へのキリスト教の影響は無いようで有るんだよ。」
てな語り口で語られる養老孟司さんの言う「西洋的自我」。
「不滅の霊魂」を前提とした、絶対不変の「自己同一性」。

「ほんとうのわたし」。

死んじまった後で、
ヤハウェさんに魂を差し出す際の荷札としての

「自分は何者であるか」。

日本では、ヤハウェさん、パァッとしないから、
あたまの隅からすっかり消えちゃって、
「わたし」だけ残ったのかな。

「わたし」自身が、空白の席に居座って、
「神様」みたいになっちゃった。
(のかな?・のかも?)

   ・
   ・
   ・

それでね、あのね、えーとね。

「わたし」にもね、2種類ほど居たんだよ。
昭和の頃にはね。

男/漢の方は、「オレ」や「俺達」。
女/女子のは、「わたし」や「私たち」。

「オレ」と言えば、おっさんが中坊のころには、
「俺の空」とかいう漫画もありました。

「俺」、「おいら」、「俺達」、「男一匹」、
色々居たよ。神様のフレンズ。

だけどね。えーとね。

皆で、殺しちゃったんだ。神様。
失敗しちゃったくせに生意気だって。
泡が弾けたころ。就職した後くらいかな。

以来、「俺様」。自分が何者だか、何だか、
まったく分からなくなってしまって、
うじうじ、グタグタ悩むだけ、
意欲も覇気も無くして、
すっかり、陰気。

世界の終りも、その再生にしても、
巻き込まれ、翻弄され、間違えて、
茫然自失、泣いて立ち尽くすだけ。

「俺様」は、英雄ではなくなった。

でも、でもね。女子のはね。

殺すかわりに、祭り上げちゃった。
小さくかわいいから、被害者だって。
世紀が変わる頃、子供が生まれた頃かな。

以来、「わたし」、自分が何者だか、何だか、
絶対正しく善なるものになってしまって、
肯定のみしか許さず、命じるだけ、
泥を被る現場は透明化され、
とっても、綺麗。

世界の救済も、法理の改変歪曲も、
その涙、命をもってすれば、容易。
自分で何をせずとも、世間は動く。

「わたし」は、救世主になった。

魔法少女が自ら消滅すれば宇宙は救済されるし、
物理世界は人間原理を統べる少女の気分で変わるし、
野獣先輩ロボットの世界救済なんて、淫夢めいた冗談だし。

なにせ、資本家様。(性的)資本家様なんだ。
プラカードを持って、命ずれば、世界は動く。

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   ・
   ・

けどね。あのね。女子でもね。

性的資本資産の優位を競う大闘争から逃げた者、
「不思議の国のアリス」の「赤い女王」めいた、
地位を維持するための果てしなき競争から降り、
現場に落ちて、泥や、油にまみれて、働く者は、

徹底的に透明化される。

「ズボン組」って呼ぶんだってさ。

東大卒の電通で働くうら若き美女が、
心を病んで自殺したらみんな悲しむ。

けど、女としての性的資本を忘れて、
性的に無産者であるチー牛みたいに、
現場で働く女たちの事故死のことは、

なんでだか、みんな、忘れる。

まるで、

チー牛のちんけな死みたいに。
みんな、忘れて、風に化ける。

   ・
   ・
   ・

ニッポンに幽霊が出る。

「チー牛」と「ズボン組」という幽霊である。

古い性的資本家たる「わたし」は、
この幽霊を退治しようとして
神聖な同盟を結んでいる。

万国の「チー牛」と「ズボン組」よ、団結せよ!

古い彼女らとの闘争は常態化してしまった。
すなわち、既に「戦争」状態である。

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女性と男性の
平等と平和を
求めるのなら、

女の方も「わたし」という
神殺しをしてからが本番だ。

とうの昔に死んでしまった
「俺」という神名と同じに。

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「 神様は、わたし / うまどしのいたずら 」