河口龍夫 関係ー無関係 湖畔にて
開催概要
開催内容
「関係」という概念を軸に、半世紀以上にわたり現代美術の最前線で思考と制作を重ねてきた日本を代表する現代美術家・河口龍夫。本展は、美術館の建築空間と湖畔という周辺環境に触発された新作と、房総のアトリエで制作された未発表作品を中心に展観いたします。昆虫から宇宙まで、ジュラ紀から現在まで――あらゆる存在と時間に向かいあう、1960年代より持続する河口の旺盛な創作欲とみずみずしい好奇心に導かれた作品世界をご高覧ください。
河口龍夫からのメッセージ
「関係」―「無関係」
私はこの世界を知りたいと思い続けてきた。私にとってこの世界を知る最もふさわしい方法は芸術の存在である。芸術を通してこの世界を眺めると、この世界は「見えるもの」と「見えないもの」の総体として成り立っている。ここにおいて「見えるもの」を「見えること」、「見えないもの」を「見えないこと」と言いかえるとき「見えること」は「関係」の世界であり、「見えないこと」は「無関係」な世界として立ち現れる。そして、「無関係」の思考はもう一つの創造における限りない自由を私にもたらしてくれている。
[見どころ]
1. 美術館の建築空間と「湖畔」に触発された新作インスタレーション
河口龍夫は、当館を訪れ、ただちにこの場所固有(サイトスペシフィック)の作品展示を提案しました。湖を臨む展示室や個性的な建築空間は、作品の背景ではなく創作を導く存在として取り込まれ、風景や光、空間そのものが作品と静かに呼応します。そこから生まれる新たな関係性は、鑑賞者の身体や視線を作品へと結びつけ、この場所でしか体験できない空間を創出します。
2. 房総のアトリエで育まれた未発表作品
河口は、身近な生命の営みや身体の変化、日々積み重なる時間に静かに眼差しを向け、それらを作品へと昇華してきました。房総のアトリエに訪れる生物が刻むそれぞれの生命の時間や、自らの身体が刻む一瞬の脈動が作品として立ち現れます。そこには、目の前にある小さな存在から、遥かな過去や未来へと続く時間へのまなざしがあります。半世紀以上にわたり衰えることのない創作欲と好奇心に導かれた現在の河口の作品世界をご覧いただきます。
3. 半世紀にわたる河口の「関係」をめぐる思考の現在
河口は、1960年代より「関係」をめぐる思考を持続させ、探究してきました。本展はまた、「創造としての批評」により河口を長く導いた美術評論家 ・ 故 中原佑介氏(1931-2011)へのオマージュでもあります。生命や物質、時間と向き合い、そのあいだに生じる「関係」を問い続けてきた河口の持続する思考と、そこから広がり続ける表現の世界をご覧ください。