フォトレツ 作品展 80,000年後に、また会いましょう
開催概要
- 会期
- 2026年09月18日 〜 2026年10月01日
- 会場
- ソニーイメージングギャラリー (東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階)
- 参加クリエイター
- PhotoRetsu
- ジャンル
- 写真
開催内容
母が急逝した。
母が亡くなってすぐ「アトラス彗星」が西の空を流れた。燦然と途轍もない速さで遠ざかる星を見ながら、母にはもう会えないんだな、としみじみ思った。
次回アトラス彗星が観測できるのは、80,000年後だとか。輪廻転生があるのなら、80,000年という途方もない時間の積み重ねの先に、幾度の転生の果てに、またお節介な母に会いたい。
信心のない我々は解脱できないだろうから、きっとまた会えると思うんだ。悲しいけれど、今世ではさよならだ。だからお母さん、80,000年後にまた会いましょう。
僕が普段撮影している「イタコ」や「オシラサマ」などの民間信仰や民俗文化では、五穀豊穣や無病息災、鎮魂が主に祈願されているが、儀礼や依代を具に見ていくと「魂は巡り還ってくる」という気配、期待がそっと潜んでいるように感じている。
仏教では六道輪廻として魂の流転が説かれ、祖霊信仰では、死者の魂は山へ還り、やがて孫やひ孫の世代に姿を変えて戻ってくると考えられてきた。輪廻転生が実在するか否かは誰にも分からないけれど、脈々と続いてきた営みを振り返る時「有る」とも言えない反面、「無い」と断言することもできない曖昧さが残るように思う。
本作は、その曖昧な余白を起点に「魂の巡り」を想像し制作したシリーズです。生と死を結ぶ線は、一直線に伸びていくものなのか、彗星の軌道のように大きく弧を描き、やがて還ってくる線なのか。そんなことを考えながら写真を組み合わせていく時間が、僕が抱えていた喪失感を埋めていくグリーフケアになっていたように思います。
※本作品はソニーイメージングギャラリーの第17回公募セレクション作品です。