上原弘子 作品展 vol.8

開催概要

会期
2026年09月28日 〜 2026年10月03日
会場
ギャラリー檜e・F (東京都中央区京橋3-9-2 宝国ビル4F)
参加クリエイター
上原弘子
ジャンル
アート
タグ
現代アート、日本画、半立体

開催内容

 今回は「戦争」という難しいテーマに取り組んでみた。
 テーマをイメージ化する過程で抽象表現では描けない内容にぶつかり、今回は具象表現も交えた新しい絵画表現に挑戦している。
 日本画素材を使用した幅3メートルの和紙とS100号の作品を中心に、半立体の作品も交えて発表する。小品も含めて、約10点を展示。

作家のコメント
 2019年初頭、たまたま展示を手伝う事でガザの三人のアーティスト達と知り合った。2023年、何度もイスラエルの攻撃を受けてきたガザであるが、今までに経験した事の無い凄まじい攻撃が始まり、彼らは狭いガザの中を逃げ惑っていた。緊迫した状況をSNSで必死に発信して来る彼ら。彼らの姿をSNSで見ながら、何も出来ない自分をなんとも言えない無力感が包んで行った。ついこの間知り合った仲間が爆撃に晒され、瓦礫の中で暮らし、彼らの親族や友人達が殺されて行く……。
それをほぼリアルタイムで見ているのに何も出来ない自分。何処にもぶつけようが無い罪悪感が身体の奥に重く沈んで行った。
これほど身につまされて「戦争」を感じた事は無かった。また、「戦争」が現実として自分の隣に座っており、その事に言葉にならない不快感と恐怖を感じた。

 今の自分に出来る事は、柄にもなく鎮魂の祈りを捧げる事ぐらいしか無いと思った。しかし、何処から始めれば良いのか分からない……。
以前から漠然と朽ちた石仏、金箔や漆の剥げた仏像などを面白いと思って観てきた。イスラーム時代に作られたペルシア陶器に描かれた物語絵や騎馬人物、初期キリスト教美術の無骨だが真摯な宗教への思いにも惹かれてきた。自分自身が何に惹かれてきたのかの確認もしたくて、これら古くから作られて来た宗教画や宗教彫刻を参考にさせてもらう事から始める事にした。

 具象は画筆の力量がすぐに分かり、気を抜くとマンガになってしまうので随分と手こずった。おまけに宗教美術などという高邁なものを参考にしてしまい、自分でも良いのだか悪いのだか分からない作品となってしまった。しかし、どんなに下手くそで嘘くさくても、まずはここから出発するしか無い。
 今回の展示では具体的な事物を受け止める具象表現に挑戦してみたので、今後はより多くの複雑さを拾い集めながら、普遍的な解放へ向かう抽象表現へ再度挑戦して行きたいと思っている。今回の展示はその出発点としたい。

上原弘子 作品展 vol.8