馬場磨貴 個展 「DONOR」
開催概要
開催内容
このたびPURPLEでは、馬場磨貴の個展「DONOR」を開催いたします。
「DONOR」は聖母子像に準えた日本人母子のポートレートシリーズで、2024年の夏にIRIS ARLES(フランス・アルル)での展示が好評を博しました。
美術館に並ぶ聖母子像から写真スタジオのメモリーフォトに至るまで、母と乳児のイメージは、長らく「幸福」の象徴として私たちの前に提示されてきました。
慈悲深く静謐なまなざしをたたえた聖母、光に包まれた記念写真に写る柔和な母性──そうして演出され、理想化が繰り返されてきた母子像は、無意識のうちに私たちの内部へと刷り込まれています。
しかし、馬場磨貴が見つめる「母」は、賢母や慈母といった観念や記号ではなく、矛盾や揺らぎを抱えながら生きる、血の通ったひとりひとりの女性たちです。『DONOR』において、馬場は、西洋の聖母子像をなぞる構図で撮影を行いながらも、授乳中のポートレートを通して、人が無意識に持つその「母性」のイメージに問いを投げかけます。
聖母マリアが突然の受胎告知を受けたとき、私たちが想像するように静かにそれを受け入れたのだろうか──。
ある瞬間、社会的な要請とまなざしの中で「母」と見なされ、その役割を引き受けることになる女性たち。甘美で抽象的な世界から遠く、今日も淡々と目の前の命に自分を与え続ける、その視線の先にあるものは何なのか。
妻、母、娘、友人、隣人──その先に、あなたはあなた自身でもあるという尊さが立ちあがる作品群です。