片山穣 " Escape to unravel "
開催概要
開催内容
s+arts(スプラスアーツ)より、片山穣 個展「Escape to unravel」の開催をお知らせいたします。
ろうけつ染めに独自の技術を加えた染色技法で作品を制作している片山穣。多くの制約が伴う中で綿密に計画され、幾度も繰り返される染色の作業工程と、それを成し遂げられる片山の技術と器量によって絵柄が何層にも重なり、繊細な作品の表情を出すことを可能にしています。「Chill」という一貫した自身の作品テーマを掲げ、観る者が現実から離れて自身と向き合い、心を落ち着かせるための役割を持たす事を目指しています。近年では、建物のウィンドウを使っての大型展示や、企業とのコミッション制作、パブリックスペースでの作品掲示など、ギャラリー外での活動も積極的に行い、活動の場を広げています。
「染め」は絵画とは異なり、色を重ねても表面に凹凸が出来ません。染料が布そのものに浸透・定着し、余分な染料を洗い落とすことで、布の中に色彩だけが残ります。そのため、表面には何も付加されず、平面性を持つ表現であると考えられます。何度も重ねられた色が糸の中に染み込み、制作過程で試行錯誤をした痕跡が生地の表面に現れることで、染料ならではの透明感のある発色と柔らかで深みのある表情が作られるのです。片山は、これらの染めの特性は、鑑賞者が作品の中へ入り込み、現実から離れるという自身のコンセプトを表現するうえで最も適したメディアであると考え、制作を続けています。
本展タイトル「Escape to unravel」に含まれる”unravel”とは、「絡まった糸をほどく / 複雑な問題や謎を解きほぐす」という意味合いを持ちます。” Escape(逃れる、逃避)” することにより、世の中の雑踏から逃れて、自らの内面や複雑な感情をひも解くきっかけになるように、という片山の想いが込められた今展となりました。
「今回の展示は私自身が実際に目にした風景をろうけつ染めによって再構成し、都市開発によって変容する日常の中に潜む個人の痕跡や時代の変化を映し出した作品群で構成しています。染め上げられた風景には社会問題への示唆を内包しながらも、鑑賞者に直接的な答えを提示するのではなく、過剰な情報や社会的なしがらみから一時的に解放されるための余白を生み出すよう意図しています。
穏やかさと冷静さを取り戻す“Chill”を感じる空間を通して、現代社会との新たな距離感を提案することを試みました。」
--- 片山穣
染めの技法は、作品としての完成度を保つために多くの制約と高度な技術を必要とします。一度染めた部分は修正が難しく、常に制約と向き合いながら制作を進めなければなりません。その感覚は多くの制約を抱えた現代社会と向き合う姿勢にも通じるものがあると片山は考えます。循環、漂流、再構築をキーワードに、都市の風景を軸に展開される今作品群はどれも、私達の日常のすぐそばで、実際には人や車が行き交う場所も多く含まれます。それでも彼が引き出す静謐な空気感と染め特有の雰囲気を上手く交わらせることで、日常の側に潜む心地良い瞬間にリンクするよう描かれています。これを機に片山穣の新作展を是非ご高覧ください。