クヴェレ美術館 開館記念展Ⅱ Meet 美の交差点 日本近代洋画とシルクロードの精華

開催概要

会期
2026年07月18日 〜 2027年01月11日
会場
テツ・アートプラザ クヴェレ美術館 (茨城県水戸市泉町3-2-3)
ジャンル
アート、クラフト
タグ
絵画、工芸

開催内容

本展覧会は、開館記念展の第2期となります。開館記念展ではクヴェレ美術館のコレクションを3期にわたってお披露目しており、第1期では近代日本画と東洋陶磁をご紹介いたしました。記念すべき第2弾となる本展では、日本近代洋画とシルクロードにまつわる工芸作品を展示いたします。テーマは「異国への挑戦とあこがれ」です。
日本近代洋画からは、海を渡り、自らの表現を切り拓いていった浅井忠、岡田三郎助、藤島武二をはじめ、海外の芸術の中で自分の美意識を磨き、それぞれの個性を育んでいった藤田嗣治や佐伯祐三、国吉康雄らを紹介します。
一方で、日本にとどまった岸田劉生や萬鉄五郎らは、西洋からの影響を自分の内面で深め、独自の表現へと昇華していきました。セザンヌやゴッホへの憧れが画面いっぱいに広がる水戸出身の中村彝による《ダリア》(1911年)は、昭和16年(1941年)の油絵遺作展覧会以来85年ぶりの公開となります。
工芸からも「異国へのあこがれ」をテーマに、ユーラシア大陸を横断する交易路であったシルクロードにまつわる作品をご紹介します。西アジアで生み出されたパルメット模様や唐草模様をあしらった作品、色鮮やかな唐三彩、豊かな唐のくらしぶりを今に伝える俑、そしてガンダーラからはじまり日本に伝わった仏教美術。悠久の時を超えて今に伝わる作品を通じて、古今東西を問わず変わることのない、「異国へのあこがれ」の旅をお楽しみください。

※一部の絵画と工芸作品は前期(~10/4)と後期(10/10~)で展示替えします。
(絵画は前・後期で各33点展示。うち12点展示替え予定。工芸は通期で約60点展示。うち3点展示替え予定)

[見どころ]
1. クヴェレ美術館の日本近代洋画コレクション初公開!
浅井忠にはじまり海外の地で自己の表現に挑み続けた藤田嗣治や、日本の油彩画を模索した梅原龍三郎、坂本繁二郎、熊谷守一など、当館屈指の日本近代洋画コレクションを紹介します。

藤田嗣治をはじめ佐伯祐三、国吉康雄といった、日本から海外へ移住するなど異国の地へ身を投じて挑戦し続けた画家たちの個性あふれる作品をご紹介いたします。
藤田嗣治はエコール・ド・パリを代表する画家で、本場フランスの地で日本人としてのアイデンティティを落とし込んだ面相筆による墨線と、乳白色の下地を用いた裸婦像や猫、子供を主題とした作品で人気を博しました。本展では、藤田の戦前から戦後までの作品を展示いたします。なかでも≪宝物≫は、中晩年期の藤田が描いた子供が主題の優作で、1955年にフランスで開催された第4回「時代の証人の画家たち」展に出品されました。
佐伯祐三は渡仏後、フォーヴィスムの巨匠ヴラマンクに、自身の作品について厳しい指摘を受け、これまでのアカデミズムな画風からの脱却を図るべく格闘していきます。
本展では、当時の佐伯を代表する、建物の壁面を正面に捉えた大胆な構図の作品、≪壁≫を展示いたします。
岡田三郎助≪裸婦≫は、日本的要素として金屏風のように描いた背景に、西洋の写実表現の女性像を配すことで、日本らしさを油彩画で表現した作品です。梅原龍三郎や坂本繁二郎など、海外への渡航を経て、日本における西洋画とは何なのか、その在り方を模索していった画家たちの軌跡をご覧ください。
梅原龍三郎は帰朝後、作品に日本画で使用される和紙や岩絵具を用いたり、和風にしつらえた額装を施すなど、日本の文化に根差した素材を使用することで、日本の洋画の確立を目指していきました。
渡欧留学が叶わなかった画家も多く、岸田劉生や萬鉄五郎らは、西洋からの影響を自身の内面で深め、独自の表現へと昇華しました。日本にとどまるも油彩画という表現方法の中で挑戦し続けた画家たちの作品をご覧ください。
熊谷守一は色と形の仕組みへ関心を寄せ、「モリカズ様式」と呼ばれる余分な要素を取り除いた線と面で構成される画風を築きました。本展では、モリカズ様式で描かれた代表作、≪牝猫≫を展示いたします。リラックスした猫の柔らかな表現からは、身の回りの自然へと視線を向け続けた熊谷の、優しいまなざしを感じることができます。長年多くの人々に愛され続けてきた可愛らしい傑作を是非ご覧ください。

2. 情熱を色彩に変えた画家・中村彝の≪ダリア≫85年ぶりに公開!
水戸市出身の洋画家・中村彝の、生命感あふれる≪ダリア≫を出品します。公の展覧会では実に85年ぶりの公開です。

水戸出身の中村彝は、日本にとどまった画家のひとりです。彝は肺結核に冒され海外への留学は果たすことができませんでした。しかし西洋から遠く海を隔てた日本の地で、巨匠らの画集や雑誌などを通してセザンヌやゴッホ、ルノワール、早くはレンブラントなど多くの画家から影響を受け、その表現を自己のものとして昇華していきました。
中でも《ダリア》(1911年)は、セザンヌやゴッホへの憧れが、躍動感あふれる筆致と鮮やかな色彩となってあらわれた傑作です。画面一杯のダリアの花からは燦然とした生命の喜びが感じられます。昭和16(1941)年に東京・日本橋高島屋にて開催された「中村彝氏油絵遺作展覧会」以来、公には実に85年ぶりの公開となります。

3. シルクロードの華麗なる名品を一挙公開!
水戸の地に優れた東洋美術コレクションを打ち立てた吉田光男氏。氏が収集した、シルクロードを通じて広がった華麗な模様と仏教美術、日本独自のいのりの美を一望できる名品を紹介します。

故・吉田光男氏から寄贈いただいた吉田コレクションからは、シルクロードを通じて広がった模様や仏教美術、日本へ伝わった祈りの美にまつわる作品を取り上げます。シルクロードによって培われた様々な意匠と、唐時代の華麗な唐三彩や俑、日本の古瓦や猿投・常滑のやきもの、経筒など多彩な名品を通して、東西文化交流の歴史と、日本独自の美意識が育まれていく過程を楽しめる内容です。

ポイント1 魅力的なシルクロードのエキゾチックな模様とかたちをたのしむ
シルクロードは、ユーラシア大陸や海上を横断する交易路のことです。特に砂漠地帯を通り抜ける陸路は、水の湧くオアシス同士を繋ぐように道ができ、ラクダに乗った商人の集団・キャラバンによって、多くの人々や物が行き交うことで、文化の交流が生まれました。
特に今回は、宝相華やナツメヤシを抽象化したパルメット模様、そこから派生した唐草模様、円を連ねた連珠円文など、シルクロードを経由して広まった意匠に着目します。なかでも《白釉加彩繧繝(うんげん)文壺》は赤・黒・青と様々な顔料で彩色がされ、中央にはパルメット模様が施される大変珍しい壺です。その他にも西域のソグド人の風貌がうかがえる俑、《加彩武人》や鮮やかな宝相華文がはえる唐三彩の《宝相華文三彩洗》など、東西交流から育まれた意匠と造形美をご堪能いただけます。

ポイント2 仏教の広がりと共に各地で生まれた多様な作品を一挙公開
仏教は、紀元前6~5世紀、現在のインドで悟りを開いたブッダによって教えが説かれたことから始まります。ブッダの死後、仏教の教えを各地へ広める役割を担ったのもシルクロードでした。教えが広まるとともに信仰の対象となるものも多数製作されるようになります。当初は遺骨や遺灰が対象となり、それを納める器がつくられ、さらに時代が経つとブッダの姿を仏像として具体的に表現するようになります。
吉田コレクションにはこうしたシルクロード各地の信仰のかたちを今に伝える作品が多く含まれています。本展では仏の遺骨を納めたとされる《舎利容器》や、地域や素材の異なる仏像を一挙公開します。

ポイント3 日本におけるいのりのかたちを味わう
シルクロードの文化は最終的に日本へももたらされました。特に仏教は日本では飛鳥から天平にかけて多くの寺院が建立され、盛んに信仰されるようになります。また仏事に用いる道具も、使用される数が増えたことで国内での生産が始まります。中でも愛知県名古屋市東部に位置した猿投(さなげ)では元々は金属製だった鉢や水瓶をやきものでつくりました。また平安時代になると当時の世相などから経典を写し、願いをこめて土に埋める埋経が流行します。経典を保護するために金属製の経筒やさらにそれを覆う経筒外容器や経塚壺も作られ、様々ないのりのかたちが展開されました。大陸とは異なる、独自の美意識の中で花開いた日本の仏教美術の奥深さを飛鳥・天平期の古瓦や猿投、常滑の名品と共にご紹介します。

クヴェレ美術館 開館記念展Ⅱ Meet 美の交差点 日本近代洋画とシルクロードの精華