古佳⽴ 理想と荒野のあいだ
開催概要
- 会期
- 2026年08月03日 〜 2026年08月16日
- 会場
- TOTEM POLE PHOTO GALLERY (東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F)
- 参加クリエイター
- 古佳⽴
- ジャンル
- 写真
開催内容
カメラを⽚⼿にこの場所を彷徨っていた⽇々、時間はゆっくりと流れていた。穏やかで美しい幻想に包まれることもあれば、不安や恐れに呑み込まれることもある。時折、⼩さな驚きにも出会った。私はこの新しい街に、未来への幻想を重ねていた。そこには未知や希望、無⼒感、そして恐れが混ざり合っている。
淡海ニュータウンは、都市中⼼部への⼈⼜集中や住宅不⾜、住宅価格の⾼騰を緩和するために、淡⽔で開発が始まった新しい街である。
街へ⾜を踏み入れると、⾼くそびえる建築群が⽴ち並び、フェンスで囲われた広⼤な荒れ地が広がっている。農地もあれば、穏やかな海辺もある。ここでは時間の感覚が曖昧になっていく。急速に積み上がっていく建設と、⼈も⾞も少ないゆるやかな時間。その両⽅が共存することで、淡海にはまるで仮想都市のような、どこか現実感の薄い空気が漂っている。
1990年代末に⽣まれ、台北の密集した都市の中で育った私は、ずっと、もっと広く静かな場所で暮らすことを夢⾒てきた。だからこそ、この場所に強く惹かれているのだと思う。淡海は私にとって、やさしく、無限の可能性を秘めた⼟地であり、理想の場所への憧れそのものでもある。
しかし、いま⽬の前で進んでいるこの開発が、本当に理想郷へ向かっているのか、それとも儚い夢の崩壊なのか、私にはまだ分からない。しばらく時間を置いて再び淡海を訪れると、長く閉鎖されていた道路では⼯事が始まり、海沿いには新たな⼯事⽤フェンスが⽴ち並んでいた。⼣⽇を眺めていた秘密の場所にも、ショベルカーや仮設の警備⼩屋が現れている。
私たちはただ、過去に別れを告げ続けながら、この街がどこへ向かおうとしているのかを⾒つめている。