生誕110年 工藤甲人展 北の大地といのちの詩(うた)
開催概要
開催内容
平塚市美術館では、1962年から平塚にアトリエを構え、半世紀にわたり活躍した日本画家・工藤甲人(くどうこうじん、1915-2011)の生誕110年を記念した回顧展を開催いたします。
工藤甲人は青森県弘前市に生まれ、1935年に上京して川端画学校日本画科に入学し画家としての道を歩み始めます。その後、福田豊四郎に師事し、造形的にも新しい傾向を持つ日本画制作を試みますが、召集されたことで制作が中断。しかし、戦前に萌芽した造形的な実験は、戦後の制作へとつながっていきました。1950年、日本画の変革を目指した創造美術展で初入選を果たすと、以降、新制作協会日本画部、創画会の中心的な画家として、郷里の自然を題材に新しい日本画の創造に邁進しました。
北国の厳しい自然に耐え、春の訪れに歓喜する動植物の生命の輝きに感応する画家の心性と、その内面に醸成された詩情とが混然一体となり、幻想的な光景が画面に立ち現れてきます。夢幻の世界と現実の世界の混交、造形と情感の調和した独自の画境は、戦後の日本画壇に新生面を切り拓きました。
本展では、初期から晩年までの代表作、小下図、画材など86点と、関連作家の作品7点の計93点により、およそ70年にわたる画業を回顧いたします。特筆すべきは、序章として戦前に工藤甲人とともに活動していた新美術人協会の作家たちの作品を紹介することです。工藤甲人の最初期にあたる戦前の作品は失われてしまいましたが、その作品写真のほか、同じ新美術人協会で活動していた福田豊四郎、吉岡堅二、堀文子、酒井亜人ら、当時の新しい傾向を持つ日本画を展示することで、戦前から戦後にかけての造形的な連続性を示しつつ、甲人が制作において目指したものを浮かび上がらせます。美術館での回顧展としては2007年に画家の郷里である青森県で開催されて以来19年振り、神奈川県内では1991年に当館で開催して以来35年振りとなる本格的な展覧会で、画家の詩的感受性と美しい色彩の妙をお楽しみください。
[みどころ]
1.工藤甲人の生誕110年を記念する神奈川県内では35年振りの回顧展
平塚にアトリエを構え、半世紀の長きに渡って制作した工藤甲人の大規模な回顧展を35年ぶりに開催。「甲人」の号を名乗る前の「八甲人」時代の新出の作品を含む代表作、小下図、画材など86点を紹介します。
2.自然の生命力を人や生きものになぞらえ、原風景と同化させる画家のイマジネーション
甲人は、巡る四季、輪廻する生命を主なモチーフとし、生と死、光と闇、夢と覚醒という対比的なテーマを画中に描き出しています。本展では、人と自然の共生をモチーフにした色面分割による造形的な作品から、自然のエネルギーを人や生きものになぞらえて、自然景と一体的に描き出すに至る過程を追います。
3.長期休館直前!平塚ゆかりの作家を顕彰する最後の企画展
平塚市美術館は1991年の開館以来35年を迎え、建物の改修工事を実施します。開館時に平塚ゆかりの代表的な作家として大規模回顧展を開催した工藤甲人を、休館前の節目として再び取り上げます。