毛利悠子 Recompose ー 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展

開催概要

会期
2026年07月24日 〜 2026年11月23日
会場
横浜美術館 (神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)
参加クリエイター
毛利悠子
ジャンル
アート
タグ
インスタレーション

開催内容

 毛利悠子は、2024年のヴェネチア・ビエンナーレに日本館代表作家として参加し、国際交流基金のコミッション、イ・スッキョンのキュレーションのもと、個展「Compose」を開催しました。現地で大きな話題を呼んだこの展覧会が、横浜に凱旋します。
 毛利は、磁力、重力、空気のゆらぎといった自然現象をメインモチーフに、身のまわりのもの(人工物/自然物)や機器を組み合わせたオブジェを介して、不規則な動きやノイズ音を現出させるインスタレーションで知られるアーティストです。それらの作品には、そこかしこに遍在するエネルギー、ものとものの間の目に見えない関わりあいや循環といった、私たちが普段見過ごしがちな自然の摂理が、ユーモアの感覚を交えて表現されています。
 ヴェネチアでの展覧会のタイトル「Compose」は、作曲、構築を意味しますが、語源をたどると com=共に、pose=置く、の2語を組み合わせた言葉です。もの同士の関わりと、それらが生み出す力を主題に制作を続けてきた毛利は、この展覧会において、コロナ禍や各地での紛争などさまざまなレベルで分断の危機にさらされているこの世界に向け、「共存」「共生」の意味をあらためて問いかけました。
 展示は、毛利が継続的に取り組んできた2つのシリーズにより構成されます。ひとつは、毛利が10年以上にわたって取り組んでいる「モレモレ」。東京の地下鉄構内の各所で頻発する水漏れと、それを駅員たちが手近な道具を使って対処するさまに想を得たもので、さまざまな日用品を用いて、即興的な水の循環システムが形づくられます。もうひとつのシリーズは、果物をモチーフとした「デコンポジション」。電極を刺された果物がゆっくりと朽ちていく過程で、その水分量の変化によって不規則な音と光が生み出されます。両者に共通するモチーフは、水。その循環や変容を可視化したこれらの作品は、空間全体に拡がる光、音、匂いもあいまって、わたしたちの五感に強く、かつ柔らかく、働きかけます。
 ヴェネチアでの展示から2年を経て、横浜美術館で再構築(recompose)される毛利悠子展にご期待ください。

[みどころ]
1. ヴェネチア・ビエンナーレで話題を呼んだ展示が、2年の時を経て日本初公開
 国内外で目覚ましい活躍をみせるアーティスト、毛利悠子。2024年に開催された第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館での個展「Compose」は、ニューヨーク・タイムズをはじめ各国のメディアで取り上げられるなど、大きな反響を呼びました。通例、ヴェネチア・ビエンナーレ日本館の帰国展は、アーティゾン美術館(京橋)で開催されますが、本展は毛利悠子の出身地・神奈川県にある横浜美術館で実現することになりました。「水」をメインモチーフとした毛利悠子作品が、イタリアと日本の水の都をリレーします。

2. ガラス張りの新設ギャラリーでの初めての企画展
本展の会場となるギャラリー9は、先般の改修工事を機に新設された、ガラス張りの展示室です。自然や日常生活とアートを結びつけ、あらゆるものの予期せぬ変化や移ろいゆく姿を可視化する毛利の創作は、美術館前の公園(美術の広場)の刻々と変化する情景と光を取り込む展示室と親和し、この空間のもつポテンシャルをさらに引き出してくれるでしょう。


【第 60 回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館「Compose」展キュレーターノートより(抜粋)】
「Compose」の原義は「com・pose=共に・置く(place together)」とされている。「Compose」展は、コロナ禍後の分断、争い、地球規模の課題や危機に直面する世界において、ばらばらになった人々があらためて共に置かれ、住まうことの意味を問いかける。人々はどのようにして「危機」において創造性を与えられるのか。それこそが、予期せぬ水漏れに立ち向かう駅員の姿を見た毛利が作品を着想するに至った背景にある。水漏れは完全には修復されることなく、フルーツはやがて朽ちてコンポスト(堆肥)となってゆく。しかし、こうした小さな営みにこそ、私たちの慎ましい創造性がもたらす希望の鱗片があるのだ。

――イ・スッキョン

毛利悠子 Recompose ー 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展