三島由紀夫 ― ピエル・パオロ・パゾリーニ  対峙の手がかり 沈黙せず、目をそらさずに

開催概要

会期
2026年06月26日 〜 2026年07月29日
会場
イタリア文化会館 (東京都千代田区九段南2−1−30)
参加クリエイター
三島由紀夫
ジャンル
写真、アート
タグ
書籍、ドローイング

開催内容

イタリア文化省、ローマ国立近代美術館(Galleria d’Arte Moderna e Contemporanea di Roma)、SUAZESは、イタリア文化会館にて、展覧会「三島由紀夫 ― ピエル・パオロ・パゾリーニ:対峙の手がかり 沈黙せず、目をそらさずに」を開催いたします。本企画は、三島由紀夫とピエル・パオロ・パゾリーニという20世紀を代表する最も複雑で捉えがたい二人の人物を、初めて対話的に提示する、国際的かつ前例のない展覧会です。

本展は、在日イタリア大使館の後援のもと、文化的・地理的・歴史的背景の違いから一見すると接点のないように見える三島由紀夫とピエル・パオロ・パゾリーニを、新たな視点から見つめ直す試みとして企画されました。しかし両者は、時代への鋭い批評精神、失われゆく伝統や過去への深い意識、そして文学・映画・演劇など複数の領域を横断した創作活動において、多くの共通点を有しています。また二人は、戦後を代表する作家・表現者として、それぞれの時代や社会に鋭い眼差しを向け続けました。作家、映画監督、劇作家、評論家として多彩な活動を展開するとともに、文化的・政治的・実存的な緊張のなかで積極的に発言を行い、公共的議論を牽引する中心的存在として大きな役割を果たしました。文学、映画、演劇など多様な表現領域を横断しながら、人間、社会、伝統、そして現代という時代そのものを問い続けた点においても、両者は深く響き合っています。


駐日イタリア大使からのコメント

日伊外交関係160周年という節目に、三島由紀夫とピエル・パオロ・パゾリーニという二人の知性の響き合いに光をあてることは大変意義深いことです。二人は実際に出会うことはありませんでしたが、その作品や思想は今なお私たちの現代に問いを投げかけ続けています。三島とパゾリーニは、現代を単純化して捉えないよう私たちに促しているのです。

駐日イタリア大使
マリオ・アンドレア・ヴァッターニ



展覧会では、両者の知的・芸術的活動を並行する二つの軌跡として提示し、その類似性、緊張関係、そして交差する接点を浮かび上がらせます。アーカイブ資料、写真、書籍、初期作品、インタビュー、記事、ドローイングによって構成されるこの対比は、思想のみならず、公的存在としての姿や20世紀の国際文化における役割を再考することを目指しています。プロジェクトの中心には、身体、伝統、メディア表現、そして社会における人間の変容との関係があります。パゾリーニは、消費社会の浸透による均質化のなかで、民衆的で土着的な文化や農村社会のイタリアが次第に飲み込まれ、失われていく過程を、批判的なまなざしで見据え続けました。一方、三島は、敗戦後の日本における急速な西洋化の進行のなかで、伝統的な文化や価値観、そして戦後に再編されていく象徴的な秩序の揺らぎと変容を見つめていました。

また本展では、写真というメディアが両者の公的イメージをいかに形成し、解釈されてきたかという点にも注目します。篠山紀信、土門拳、フェデリコ・ガロッラ、サンドロ・ベケッティといった20世紀を代表する写真家たちによって捉えられた彼らの表情や身体は、展示全体の重要な軸となり、その思想や文化的遺産を読み解くための手がかりとして機能します。本展は、単なる伝記的な比較にとどまるものではありません。実際に出会うことのなかった二人の人物が、それぞれの時代の矛盾を極めて明晰に見据え、沈黙することなく、目をそらさずに、文化の画一化と記憶の喪失に抗い続けた軌跡を通して、訪れる人々に開かれた対話の場を生み出すことを目的としています。会場はイタリア文化会館(東京・九段)のエキジビションホール。展示は「肉体」「責任」「文学」「映画」「劇場」「芸術連関」「社会」という7つのキーワードを軸に構成されます。

本プロジェクトはマルコ・ミヌッツが企画・立案を主導し、佐藤秀明(三島担当)、ロベルト・カルネーロ(パゾリーニ担当)の両キュレーターとの協働により実現しました。それぞれの表現領域を多面的に提示しながら、互いに映し合うような関係性の中で、共通する思考の軌跡を浮かび上がらせることを目指しています。

三島由紀夫 ― ピエル・パオロ・パゾリーニ  対峙の手がかり 沈黙せず、目をそらさずに