エトランゼたち —洋画家たちのヨーロッパ体験
開催概要
開催内容
公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館(東京都中央区)は、「エトランゼたち —洋画家たちのヨーロッパ体験」展を開催します。
明治維新以降、西洋文化を学ぶため多くの日本人がヨーロッパへと渡りました。美術家たちもまた、ヨーロッパ留学によって古典絵画や最新の美術動向に触れ、それらを貪欲に吸収しています。モデルを使った人物画や、画塾での裸婦デッサン、美術館での模写、写生地での人物風景描写など、彼ら異邦人(エトランゼ)たちは異国での体験を通して実に多様な作品を生み出しました。一方でそれらの作品は、彼らが何を見て、何に学んだのかを雄弁に語る情報源でもあります。本展では、石橋財団コレクションから黒田清輝、藤島武二、安井曾太郎、藤田嗣治らによる滞欧作100点以上を一挙に公開し、その瑞々しい魅力をお伝えします。あわせて展示会場の一部で同館のコレクション名作選もお楽しみ頂けます。
見どころ
1. すべてメイド・イン・ヨーロッパ。滞欧作から読み解く日本洋画の魅力
本展は日本人美術家たちがヨーロッパ留学中に描いたいわゆる滞欧作のみで構成されます。百武兼行(ひゃくたけかねゆき)による《臥裸婦》は、日本人が油絵で描いた最初期の裸体画と位置づけられる記念碑的な作品であり、この時期すでに高い技術力を身につけていたことが示されています。また黒田清輝は滞在先で親しくなった女性をモデルに《針仕事》を描きました。黒田がフランスで修得した明るい色彩に満ちた外光表現は、新派と呼ばれ日本の洋画壇を二分する大きな影響力を持ちました。これらの滞欧作は日本洋画の歩みの一端を示すと同時に、修業時代ならではの瑞々しい魅力に満ちています。
2. パリだけじゃない!聖地巡礼、芸術家村、古代遺跡を巡る旅
渡欧した多くの洋画家たちはパリを目指し、その美しい都市風景を描き留めました。一方で憧れの画家のアトリエや有名な作品に描かれた名所を巡る「聖地巡礼」のほか、南仏やノルマンディー、ブルターニュ地方など、パリより生活費が安く風光明媚な景色が広がる郊外へ連れ立って写生旅行に出掛けたりもしています。たとえばセザンヌの故郷エクス=アン=プロヴァンス、黒田清輝ら諸外国から多くの美術家が集った芸術家村グレー=シュル=ロワン、あるいは西洋美術のルーツを求めイタリアやギリシアの古代遺跡にも足を伸ばしています。彼らを惹きつけた土地をめぐる物語をご紹介します。
3. 石橋財団の洋画コレクション100点以上を大規模に展観
女性像の名作として広く知られる藤島武二《黒扇》は、晩年の藤島がことのほか大切にした作品で、同館創設者石橋正二郎との深い信頼関係によって譲り受けたものです。また正二郎はかつて模写美術館構想をもっていたとされ、髙田力蔵の渡欧に際し名画の模写を依頼してコレクションに加えました。石橋財団にはそのほかにも浅井忠《グレーの洗濯場》や坂本繁二郎《帽子を持てる女》といった各作家の滞欧期の代表作が多数収蔵されています。本展ではこれらに加え正宗(まさむね)得三郎《新緑》、硲(はざま)伊之助《ブザンソン風景》《ニース海岸通り》、髙島野十郎《霧の日》などの新収蔵作品も初公開し、2フロアに渡って100点以上の洋画コレクションを大規模に展観します。
[展覧会構成]
1章 ⼈物、肖像
2章 裸婦
3章 模写
4章 近代都市風景—パリ
5章 写⽣旅行—フランス郊外
6章 古代憧憬—イタリア、ギリシアほか