トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~
開催概要
- 会期
- 2026年07月03日 〜 2026年09月27日
- 会場
- TOKYO NODE (東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45F)
- 参加クリエイター
- トニー・アウスラー
- ジャンル
- アート
- タグ
- 映像、インスタレーション
開催内容
トニー・アウスラー(1957年-)は、映像インスタレーションやプロジェクションマッピングといった立体物に映像を投影する表現スタイルを切り開いたパイオニアであり、ニューヨーク・タイムズ紙(2001年4月27日掲載)は、彼を「ビデオによる空気の彫刻家(A sculptor of air with video)」と評しています。アウスラーは、映像、彫刻、音、光、言葉を組み合わせた不可思議な没入型インスタレーションで広く知られています。彼の活動は、1980年代以降のニューヨークにおける音楽とアートが交差するカルチャーシーンの中で形成され、様々なミュージシャンとのコラボレーションは、映像、身体、そして音の関係性を再定義しました。 彼はマイク・ケリー、コンスタンス・ディヤング、トニー・コンラッドといったアーティストたちとの親交があり、日本の現代アート界でも高く評価されていますが、これまで日本ではまとまった規模の作品が紹介されることがありませんでした。本展は、アウスラーの初期の代表作から本展に合わせて制作された最新作まで、一度に鑑賞できる日本初の大規模個展です。
アウスラーの作品世界は、ポップ・カルチャーやサブカルチャーから、科学、陰謀論、宗教、超常現象、宇宙に至るまで、多様な領域へ広がります。詩的なまなざしとユーモアを通して、データの流れや監視システム、霊や信号といった現代社会における「見えないもの」への欲望と不安を映し出し、観る者を思索と感覚の旅へと誘います。
本展では、世界的ミュージシャンのデヴィッド・ボウイとコラボレーションした作品を世界初公開するほか、現代美術家のジム・ショーも参加した初期作品《プライベート》(1993-1997年)や本展のキービジュアルでも使用している《スペキュラー》(2021年)などの主要作を通覧するとともに、構想から四半世紀を超えて作品化される未発表作《空》(2000年)、そして本展のための最新作《キメラ》(2026年)を発表します。加えて、アウスラーの創造の源泉でもある、科学、魔術、未確認現象などの約3,000点に及ぶ収集資料の一部も特別に紹介します。
現代社会において、テクノロジー(技術)が年々その比重を重くしている一方、逆説的に創造性やスピリチュアル(霊的)な領域も重視されるようになってきています。こうした状況のなか、「技術と霊知のはざま」を探求し表現するアウスラーの作品群は、今私たちに重要な問いを投げかけ、刺激的な体験をもたらすでしょう。
[アーティストメッセージ]
この度、日本で初めての大規模な展覧会を開催できることを、大変うれしく思い、熱意をもって取り組んでいます。日本文化は、1970年代に歌舞伎や日本の版画を研究し始めて以来、私を魅了し続け、私の制作活動に非常に重要な影響を与えてきました。これまで長年にわたり、日本で作品を発表する機会に恵まれてきましたが、初めて日本を訪れた1987年は、私の制作活動を形成する上で忘れがたい経験となりました。
長い年月を経て東京に再び戻り、そして友人のレム・コールハース率いるOMAが設計したTOKYO NODEの空間で本展を開催するのはまるで夢のようです。地上200mの天空のギャラリーTOKYO NODEは、文字通り雲の上にある、クリエイティブな体験のための興味深い『インキュベーター(育成装置)』です。本展は、私の幅広い制作活動の中から、とりわけ力強い選りすぐりの作品群を展示します。初期の作品から、近作、未公開の研究資料、そして皆さんへのちょっとしたサプライズも用意しています。
マルチメディアアーティストとして、私は常に日本を、奥深く複雑な歴史とハイテクな実験精神が共存する場所だと捉えてきました。このバランスは、私たちが強力な新しいテクノロジー(人間の本質そのものに問いを投げかける驚くべきツール)を乗りこなそうとしている今日において、特に重要だと感じています。創造性がこれらのテクノロジーを生み出しました。今問われているのは、このテクノロジーがもたらす問題に対処する上でも、我々の創造性が役立つかどうかです。私はその議論において、アートが極めて重要な役割を果たすと信じています。
[みどころ]
1.マルチメディアアートの第一人者の代表作が一堂に会する日本初の大規模個展
日本を含む世界中の現代アートシーンを牽引してきた世界的巨匠の日本初の大規模個展。《プライベート》(1993-1997年)や《塵》 (2006年)、《ロック2、4、6 》 (2010年)、またパルク・デ・アトリエ(アルル、フランス)およびルマ ・ウェストバウ (チューリッヒ、スイス)のためにルマ財団の委託により制作され、現在はニューヨーク近代美術館(MoMA)にも収蔵されている《計り知れないもの》(2015-2016年)、さらに初公開の新作など、初期から現在までの代表作を網羅的に紹介します。
2.デヴィッド・ボウイとの共作を、四半世紀越しに初めて作品化し、世界初公開
アウスラーは、現代美術家のマイク・ケリー、ミュージシャンのJGサールウェル、Jマスシス、キム・ゴードン、コンスタンス・ディヤング、トニー・コンラッドといった、現代を象徴する数多くのアーティストやミュージシャンと共作し、常にジャンルを超越した作品を生み出し続けてきました。その中でも、世界的音楽家デヴィッド・ボウイおよび作曲家グレン・ブランカと2000年から共同で制作を開始していた《空(くう)》(2000年)を、本展で世界初公開します。
3.本展のための大型新作に加え、約50点の出展作品の約半数が日本初公開
TOKYO NODEの天井高15mに及ぶドーム型のギャラリースペースを活かした大型の新作《キメラ》(2026年)を制作中。アウスラーが収集・研究してきた、ネット上の人々の目撃談や噂から生まれた未確認生物をベースに、そこに隠された環境問題や都市伝説的な物語を浮き彫りにします。日本と世界各地のさまざまな「キメラ」が虎ノ門の上空に出現します。加えて今春台湾で発表された新作《星》(2026年)など、約50点の出展作品の約半数が日本初公開です。