眼のごちそう 食器

開催概要

会期
2026年07月08日 〜 2026年08月30日
会場
サントリー美術館 (東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階)
ジャンル
クラフト
タグ
陶磁、食器

開催内容

 サントリー美術館(東京・六本木)は、2026年7月8日(水)から8月30日(日)まで「眼のごちそう 食器」を開催いたします。本展は、サントリー美術館の基本理念「生活の中の美」を楽しむ企画として、近世、主に桃山時代から江戸時代の陶磁の食器を特集いたします。

 今を生きる私たちのすでに約 400 年前には、日本ではおもてなしの場においてさまざまな産地・形・文様・用途の陶磁の食器をもとめ、使いこなし、楽しむことが定着していたようです。
 華やかな大皿、優雅な鉢、個性的な向付……。こうした陶磁の食器のデザインに注目してみると、そこには吉祥や季節感、あるいは珍しい器でもてなしたい、などのメッセージが少なからずあることに気づきます。食器とは、おいしい料理とあいまって客人にさらに深い喜びを得ていただくための「眼のごちそう」だったのではないでしょうか。
 日本人が愛好した陶磁の食器は国産にとどまらず、中国をはじめとする海外製にもおよび、食器に対する日本人の旺盛な興味がうかがえます。このような食器が使われた当時のおもてなしのようすにも時おり触れながら、うつわ一つ一つの造形をお楽しみいただく貴重な機会になります。

[展示構成]
第1章 近世の食卓を彩る陶磁の食器 ―大皿・鉢・向付・蓋物・猪口

 日本の食事文化では、料理の内容や出し方に合わせてさまざまな形の陶磁器が使い分けられてきました。第1章では近世に用いられた代表的な陶磁の食器を取り上げ、それぞれの役割や使われ方を通して、器が食事の作法やおもてなしを形づくっていたことを見ていきます。

大皿・鉢
 人数分の料理をまとめて盛る器です。料理は華やかに盛り付けられて席に出され、その後、給仕役が取り分けたり、客が順番に自分の分を取って次の人へ回したりしました。
 茶の湯の食事である懐石では、鉢に人数分の焼物、酒の肴となる煮物・酢の物・あえ物、香物、菓子などを盛って出しました。

向付
 客ひとりに一つずつ出される器です。近世、日本料理を食す時にはひとりひとりに「膳」や「折敷」が用意され、その上に並んだ器でいただきました。膳や折敷の上で、自分の手前側に飯椀や汁椀があるのに対し、向付はそれらの向こう側に置かれます。例えば懐石では、向付に刺身や膾(なます)を盛ります。客全員にお揃いの向付で料理が提供され、その場に連帯感が生まれます。食べ終えると、空になった向付は鑑賞の対象にもなりました。

蓋物
 蓋の付いた鉢です。また、蓋付きの向付は蓋向(ふたむこう)、蓋付きの碗は蓋碗(ふたわん)( 蓋茶碗)などと呼ばれます。平安貴族の儀式料理である大饗(だいきょう)料理や、武家社会の儀式料理である本膳料理では「できたてを食べる」ことは必ずしも重視されなかったと考えられています。しかし近世になると、できたてのおいしさを届ける意識が高まりました。蓋は料理の色・香り・うるおい・温かさを保つと同時に、蓋を開ける瞬間の演出にもなります。

猪口(ちょく)
 小さい筒形の食器です。近世には、調味料や薬味の種類が豊富になりました。食べるときに好みに合わせて風味を加えられるよう、猪口や汁次(しるつぎ)に調味料・薬味を入れて添えました。また猪口や手塩皿(てしおざら)は珍味や香物などを少量盛るのにも適しています。猪口の発達は、日本料理で繊細な味わいが重視されるようになったことを示しているともいえます。

第2章 器が語るもの ―形と文様に込められたもてなし

 多くの場合、近世のおもてなしの食卓は漆器の膳や椀を中心に整えられ、そこに陶磁器が部分的に加えられていました。漆器だけでもおもてなしの膳を一通りそろえることはできます。また、実用性だけを考えるなら陶磁器の形は丸と四角があれば十分だったかもしれません。それでも日本ではさまざまな産地の陶磁器を取り入れ、多様な形や豊かな文様の器をおもてなしの場で大切に使いこなしてきました。
 第2章では変化に富んだ器の形や文様に注目し、それら一つ一つに込められたもてなす側のメッセージを読み取ってみます。

眼のごちそう 食器