古川 諒子「喫煙は数え切れない発明品」

古川 諒子「喫煙は数え切れない発明品」

開催概要

会期
2026年04月11日 〜 2026年04月26日
会場
KATSUYA SUSUKI GALLERY (東京都目黒区柿の木坂1-32-17)
参加クリエイター
古川諒子
ジャンル
アート
タグ
絵画、アート、現代アート

開催内容

この度KATSUYA SUSUKI GALLERYでは4月11日(土)より、古川諒子による弊廊では2回目となります個展「喫煙は数え切れない発明品」を開催いたします。

異なる場所で、異なる価値観のもとに生きる女性たちがいる。
都市の中で欲望と自立を語る者と、家族という場の中で労働と関係性を引き受ける者。
一見交わることのないそれぞれの語りは、しかしどこかで似た響きを帯びている。
もし彼女たちの言葉が、ひとつの場所に集められ、混ざり合ったとしたら──そこにはどのような声が立ち上がるのでしょうか。

本展において古川諒子は、二つのテレビドラマ――『Sex and the City』と『渡る世間は鬼ばかり』――に登場する言葉を切り取り、分解し、再び結び直すというアプローチから生まれた作品を発表します。
断片化された言語は新たな文脈の中で不意に接続され、意味を結び損ねながらも、確かに何かを語りはじめる。その不確かで不安定な語りは、絵画という媒体へと移し替えられ、にじみや重なりとして画面に現れます。

重なり合う色彩は溶け合い、あるいは拮抗し、ひとつの像を結びきらないまま佇む。それは、異なる背景を持つ声が交差する場において、差異が消えることなく共存し続ける状態を示しているかのようでもあります。

交わることのなかった複数の語りが出会う、その瞬間に耳を澄ますための試みである古川諒子による今回の個展。この機会に是非ご高覧下さい。

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[ステートメント]

本展では、同時期に放送されていた二つのテレビドラマ――『Sex and the City』(米国)と『渡る世間は鬼ばかり』(日本)――を素材に、カットアップの手法で再構成した絵画作品を展示します。 前者は都市に生きるシングルウーマンの欲望や自立を描き、後者は家族という共同体を支える女性の労働と葛藤を描きます。どちらのドラマにも共通しているのは、女性たちがひたすらに「語る」という点です。もしこの二つのドラマの登場人物たちが互いに会話を始めたらどうなるだろうか、と想像したことから制作が始まりました。

彼女たちに会話をしてもらうために、まず私はそれぞれのドラマを文字起こしすることから始めました。そこで私は、交わらないと思っていた両者が、共通する単語を話していることに気づきます。それは文字起こしする前に予想していた「働く」「結婚」といった言葉だけでなく、「うんざり」「幸せ」「一緒に」という感情や関係性をめぐる言葉でした。
彼女たちの会話をより親密にするために、文字起こしした言葉を単語や文節ごとに切り刻み、切り離された文言を組み合わせて作文をすることにしました。カットアップした例として、「サラリーマンの医者が 家事の手抜きは困るぞ」や「ファインプレーをみせた本間家の婿」などがあります。この一見意味をなさない文章を元に、絵画を制作します。絵具は支持体に染み込みながら曖昧に広がり、にじみという痕跡を残します。同じ色が溶け合う部分もあれば、異なる層として対立し続ける部分もあります。

異なる価値観がぶつかるとき、差異を際立たてるのか、もしくは語りの中ににじみ溶け合うのでしょうか。異なる文脈に属する女性たちの語りを交錯させることで、文化を越えて立ち上がる声の重なりを可視化する試みです。

古川諒子