菊池和晃 STUCK³ー泥濘のキュビズム
開催概要
開催内容
菊池和晃による「STUCK³ ー泥濘のキュビズム」を開催します。
菊池は、過大な労力にまったく見合わない仕事を行うマシンを制作し、それを自ら稼働させることで、美術史上に残る作品イメージを生産する行為そのものを作品化してきました。
鉄やステンレスで作られたマシンは、大人一人では持ち上げることが難しいほど重く堅牢で、工場の工作機械のような外観をしていますが、実際には、驚くほど非効率で、過酷な労働を強いる装置ばかりです。 結果や効率が重視される現代社会において、菊池はこうしたナンセンスとも言える行為を、あえて作品として提示しています。
本展では、15世紀の北方ルネサンス、17世紀のバロックへと時代を遡り、3点の絵画をモチーフとした新作を発表します。
今夏、フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》が来日し、大阪中之島美術館で展示されることが話題となっていますが、周知の通り、この作品は数奇な運命をたどってきました。フェルメールの死(1675)後に競売にかけられ、約200年にわたり所有者を転々としたのち、1881年の競売で当時わずか1万円で落札され、落札者の死後、本作はマウリッツハイス美術館に寄贈されました。
本展ではこの作品をはじめ、ベラスケス《ラス・メニーナス》、ヤン・ファン・エイク《アルノルフィーニ夫妻の肖像》を題材に、鑑賞者が画面に目線の高さで極端に接近したときに見える(であろう)イメージを描いた《超近景シリーズ》、鉄板に「アイアンブラシホルダー」を用いて描かれた《脱重力の為のプラクティス》など、7点ほどを展示します。
3月21日(土)には、自作のマシンを稼働させるパフォーマンスを予定しています。
[作家コメント]
折角なので、スタックした泥濘を観察してみることにした。ゼロ距離で眺めてみたり、線を引いてみたり、重さを確認したり。
どのみち、しばらくの間ここで足止めを食うことになるので、じっくりやってみることにした。
そのうちに、ぽつりぽつりと鳥肌が立ってきて、皮膚が引っ張られ、体が浮いて、前後不覚になってきた。泥の重みを感じつつ、なんとか体を動かして泥をかき出していく。しばらくすると、隣に新しい泥濘ができたので、誰かがそこにスタックするのを期待した。