飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき
開催概要
- 会期
- 2026年02月28日 〜 2026年05月06日
- 会場
- 水戸芸術館現代美術ギャラリー (茨城県水戸市五軒町1-6-8)
- 参加クリエイター
- 飯川雄大
- ジャンル
- アート
- タグ
- ドローイング、写真、映像、インスタレーション
開催内容
飯川雄大は時間の相対性や知覚のゆらぎに着目し、何気ない風景や身近な物事を注意深く観察することで、人々の認識の不確かさや、社会で見過ごされがちな存在に目を向けさせる作品を制作してきました。記録という行為とそこからこぼれおちるものの考察から生まれた〈デコレータークラブ〉シリーズでは、巨大なピンクの猫を街中に突如出現させたり、鑑賞者のかかわりによって移動・変化するオブジェを屋内外に設置したりと、立体、絵画、写真、映像等を自由に組み合わせ、空間の特性を生かした作品を展開しています。
本展では、飯川のこれまでの実践を包括的に紹介するとともに、情報の曖昧さや感覚の不完全さを新たな可能性と捉え、鑑賞者を巻き込む新作インスタレーションを制作します。
それらへの応答として現れる振る舞いは、人々が時を忘れ、夢中になって遊ぶ姿を思い起こさせます。そしてその「遊び」の先、場所や時間を越えたところで、いつか誰かが、見知った日常とは異なる光景を見つけるかもしれません。思いもよらぬ出来事に出会ったときの衝撃、生々しいリアリティを持った想いを、私たちはそのことを知らない他者にどのように伝えることができるのか、その(不)可能性について、共に考える機会となるでしょう。
【展覧会の3つのポイント】
1. 国内外で注目を集める飯川雄大、過去最大規模の個展
飯川は、時間の相対性や知覚のゆらぎ、日常に潜む違和感や曖昧さに着目し、多様なメディアや手法を用いて作品を制作してきました。鑑賞者の介入によって作品が成立する仕掛けや、展示空間の内外を接続するアプローチなど、新たな風景や予期せぬ出来事を引き起こす表現は高く評価されています。飯川は一貫して、私たちが他者と共有できない体験や、何かが湧き起こる衝動を伝えようとするときの思考や戸惑いに注目し、鑑賞者が自身のタイミングで「何かに気づく瞬間」を重要視しています。近年では「Inside Space」(Galerie Monument SONGWAT、バンコク、2025)、「未来のための定規と縄」(霧島アートの森、鹿児島、2023)、「同時に起きる、もしくは遅れて気づく」(彫刻の森美術館、神奈川、2022)など国内外で個展を重ね、いま最も注目されるアーティストの一人です。本展は、これまでの飯川の多岐にわたる実践を、水戸芸術館のために制作した新作に加え、ドローイングや写真・映像作品とともに包括的に紹介する、過去最大規模の個展です。
2. 実験の積層がつくる、有機的な「風景」
情報の曖昧さや感覚の不完全さを新たな可能性として捉える飯川雄大。本展では、その視点を生かしたインスタレーションを展開します。今回制作される新作は、当館の建築や空間的特徴を生かしたものであり、過去作品と響き合い、ひとつの有機的な展示空間を構成します。この試みは様々な場所で実験的に鑑賞者を巻き込んできた飯川の活動の集大成といえるでしょう。会場各所に設置された仕掛けは鑑賞者の遊び心を刺激し、行動を促します。その結果引き起こされる変化は、展示室内にとどまらず、異なる場所や時間へと広がり、思いがけない「風景」を生み出します。
3. 複数の会場を「鑑賞者」がつなぐ《デコレータークラブ―新しい観客》
美術館の枠組みを超えた試みとして、《デコレータークラブ―新しい観客》を実施します。これは、展示室に置かれた作品《ベリーヘビーバッグ》を鑑賞者自身が運び出し、同時期に個展を開催している他会場(Art Center NEW、KOTARO NUKAGA(天王洲)、gallery αM)へと移動させるプロジェクトです。《ベリーヘビーバッグ》を運ぶ鑑賞者は、展示空間の内と外のつながり、「見る/見られる」の関係性、日常と非日常を隔てる境界といった問いを抱きながら、遠く離れた場所への道のりを想像し目的地へと向かいます。街の風景に擬態するように紛れ込んだその姿を目撃した人々も、思いがけず作品に巻き込まれていきます。そして「運ぶ人」と「見る人」の双方を「新しい観客」へと変え、それぞれの立ち位置からの視点を交差させます。複数の会場を作品がつなぐこの試みは、多層的な視点が重なり合う新たな鑑賞の場をもたらします。