濱元 祐佳「内なる怪物」
開催概要
- 会期
- 2025年11月22日 〜 2025年12月07日
- 会場
- KATSUYA SUSUKI GALLERY (東京都目黒区柿の木坂1-32-17)
- 参加クリエイター
- 濱元祐佳
- ジャンル
- アート
- タグ
- 油絵、アート、ぬいぐるみ
開催内容
この度KATSUYA SUSUKI GALLERYでは11月22日(土)より、濱元祐佳による弊廊では初となります個展「内なる怪物」を開催いたします。
濱元はぬいぐるみをモチーフに、過去のトラウマや捨てきれない愛着といった、心の奥に潜む感情をテーマに制作を続けてきました。本展では、自身の内面を見つめながら「内なる怪物」と題した新作を発表致しします。
「内なる怪物」とは、心の中にある厄介な存在のこと。
濱元が度々幻覚で見ることがあるという蜘蛛は、ユング心理学では「嫉妬深く子を束縛する母親」の象徴とされる一方、芥川龍之介『蜘蛛の糸』のように救いのイメージも併せ持つ存在です。
母親とは他の家族とは違う、独特の関係性だったと語る濱元は、象徴としての蜘蛛の、その二面性に惹かれ、不気味でありながらも愛らしいぬいぐるみを制作する事から、今回の展覧会に向けての制作はスタートしました。
そして「内なる怪物の誕生」から「怪物殺し」へと続く、一つの物語として構成された今回の展示は、母を愛しながらも複雑な感情を抱く娘の視点から、不完全な存在を赦し、受け入れることへと向かいます。
「生きたまま生まれ直したい」と語る濱元にとって、制作は自己を見つめ直す行為そのものです。
ぬいぐるみたちによって、恐れや痛みを抱えながらも優しさを失わない存在として、私たち自身の内側に潜む“怪物”を静かに映し出した今回の個展。
この機会に是非、ご高覧下さい。
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<内なる怪物>
私はぬいぐるみをモチーフとして、主に過去のトラウマや、捨てきれない愛着をテーマに制作しています。
本展覧会では『内なる怪物』を題材に構成しています。
『内なる怪物』とは、自身の心の中にある厄介なものを表した言葉です。例えばインナーマザーであったり、怪物のような自分の心の事であったりします。
今回、タブローを作るにあたり、ぬいぐるみを製作しました。それらを製作するにあたって着想を得た出来事がありました。
<蜘蛛は母親の象徴>
私はまれに蜘蛛の幻覚を見ます。幻覚で繰り返し蜘蛛を見るようになって、蜘蛛の存在が気になり始め、それらの象徴や母親との関係性に着目しました。
ユング心理学的な解釈をすると、蜘蛛は「嫉妬深く、こどもを束縛する母親」の象徴です。
そこで、私は繰り返し見た蜘蛛の幻覚は「母親」との関係でのトラウマそのものではないかと感じました。
また蜘蛛は、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のように、地獄から天国への橋渡しをする役割を持つようなプラスのイメージと、西洋特有の蜘蛛は邪悪な存在で怖くて恐ろしいといったマイナスのイメージを持つといった、両側面のイメージを持つ面白い存在です。
私は母親とは何かと考えながら、蜘蛛を題材に不気味でどこか愛らしいぬいぐるみを作りました。
陰陽の両方の側面を持つ蜘蛛をモチーフとして選ぶことで、「母親を愛しつつも複雑な感情を抱いていること」を表しています。
<怪物殺し>
心理学的な「父殺し」という言葉はよく聞きますが、「母殺し」という言葉はあまり聞きません。母と娘の関係は他の母-息子、父-娘、父-息子などの関係性と比べても難しいものだと感じています。
私の母は未熟なものを抱えたまま大人になったような人でした。そのため、母親とはなんだろうと幼少期から考えるようになりました。
しかし母は母である以前にひとりの不完全な女性です。日に日にそんな不器用で弱い母を許してあげたいと思うようになりました。
製作したぬいぐるみの外見は醜くて不完全なものです。私はそんなぬいぐるみに不完全さを許容する社会であってほしいという願いを込めています。
また私は今回の展示で内なる怪物の誕生から怪物殺しといった一貫したストーリーで作品をラインナップしました。
作品それぞれが内なる怪物の誕生、内なる怪物の存在、怪物殺し、について描かれています。
内なる怪物はなかなか消えません。内なる怪物を心から認めて許す事で怪物殺しを達成できます。
<生きたまま生まれ直す>
私は制作を通して、生きたまま生まれ直したいと思っています。
自分の心の内にあるものを吐き出したり、暴け出す行為は恐ろしくて恥ずかしいものだと思います。
しかし、そこから自身の弱さを認めることで、本当に求めていた生き方ができると信じて描き続けていきます。
濱元祐佳