ロン・ミュエク
開催概要
開催内容
森美術館とカルティエ現代美術財団は、2026年4月29日(水・祝)から9月23日(水・祝)まで、「ロン・ミュエク」展を開催します。
ロン・ミュエク(1958年オーストラリア生まれ、英国在住)は、革新的な素材や技法、表現方法を用いて具象彫刻の可能性を押し広げてきた現代美術作家です。人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねて制作されたミュエクの作品は、洗練され、生命感に溢れ、孤独、脆さや弱さ、不安、回復力といった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現しています。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催された「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展(1997年)への参加で注目を集めて以来、世界各地で個展を開催してきました。
実際の人物よりもはるかに大きく、あるいは小さく造られるその彫刻は、私たちの知覚に対する先入観への挑戦でもあります。同時に、実際に存在していそうであるというリアリティに肉迫する一方で、鑑賞者一人ひとりの解釈や思索を促す曖昧さも残しています。神秘的でありながら圧倒的な存在感を放ち、私たちと身体との関係、そして存在そのものとの関係を問いかけます。
本展は、作家とカルティエ現代美術財団との長きに渡る関係性によって企画されたもので、2023年
パリの同財団での開催を起点とし、ミラノとソウルを経て、森美術館で開催されます。日本では、2008年に金沢21世紀美術館で回顧展が開催されて以来、2度目の個展になります。大型作品《マス》(2016-2017年)など作家の主要作品を中心に初期の代表作から近作まで11点を展示し、作品の発展の軌跡を深く洞察します。そのうち6点は日本初公開で、特に初期の代表作《エンジェル》(1997年)の出展はまたとない機会になるでしょう。また、フランスの写真家・映画監督のゴーティエ・ドゥブロンドによる、作家のスタジオと制作過程を記録した貴重な写真作品と映像作品も併せて公開し、ミュエクの比類なき彫刻がどのように生み出されるのかを明らかにします。
[略歴]
1958年オーストラリア、メルボルン生まれ、1986年より英国在住。映画・広告業界で20年以上働いた後、1990年代半ばに彫刻の制作を開始。1996年、ロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催された展覧会で、ポルトガル人画家パウラ・レゴの絵画と共に彼の彫刻《ピノキオ》(1996年)が展示され現代美術界にデビュー。翌年、他界した父親を小さく表現した《死んだ父》(1996-1997年)が、同地のロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催された「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展に出品され注目を集める。以来、ミュエクは世界各地の権威ある美術館で作品を発表。近年ではソウル、オランダのハーグで個展を開催し、今後はシドニーでの個展が予定されている。日本では、十和田市現代美術館で《スタンディング・ウーマン》(2007年)が常設展示されている。一作品を制作するために数ヵ月、時には数年を要することもあり、過去30年間に制作された作品総数は50点程しかない。
[本展の特徴]
■寡作の作家ミュエクの作品を網羅的に紹介する、日本では18年ぶりの大規模個展出展作品の多数が日本初公開
本展は、初期作品から近作に至るまで、作家の制作活動全体を包括的に紹介する大規模な展覧会です。出展作品の多くは日本初公開となります。総作品数が50点程しかないミュエクの彫刻作品を多数集めて個展を開催することは困難であり、11点もの作品を展示する本展は貴重な機会となります。日本での個展は2008年以来となり、これほど多くの作品を展示するのは今回が初の試みです。
■大型作品《マス》(2016-2017年)を日本初公開
本展の中心をなすのは、巨大な頭蓋骨の彫刻100点で構成されるインスタレーション《マス》(2016-2017年)です。本作はオーストラリアのメルボルンで開催されたNGVトリエンナーレ2017で初公開され、その後フランス、イタリア、オランダ、そして直近では韓国で展示されました。展示の際は毎回、美術館の展示室の構造や特性に合わせて再構成され、森美術館でも約300㎡にわたるサイトスペシフィックな展示となります。
■鑑賞者一人ひとりの感情を喚起する精緻に表現された彫刻
ミュエクは人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねて、精緻な技法を用いて彫刻を制作します。洗練され、生命感に溢れ、孤独、脆さや弱さ、不安、回復力といった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現した作品は、私たち誰をも魅了し、人間とはなにか、生きるとはどういうことか、という問いを考察する旅へと誘います。
■めったに見ることができない制作の舞台裏を公開
フランスの写真家ゴーティエ・ドゥブロンドが制作した写真シリーズと映像2点も展示されます。ドゥブロンドは25年以上にわたってミュエクの制作過程を記録しており、ロンドンと英国南部にあるミュエクのスタジオや、創作プロセスの貴重な舞台裏を垣間見ることができます。