林銘君「空空」

開催概要

会期
2025年09月27日 〜 2025年10月26日
会場
Yu Harada (東京都新宿区住吉町10-10)
参加クリエイター
林銘君
ジャンル
アート
タグ
水墨

開催内容

Yu Haradaでは、林銘君による個展「空空(kong kong)」を開催いたします。

林銘君は1995年中国福建省に⽣まれ、2019年に中央⺠族⼤学美術学専攻を卒業。2023年に多摩美術⼤学⼤学院⽇本画専攻を修了し、現在は東京藝術⼤学博⼠課程⽇本画専攻に在学中。
林銘君は⽔墨画という伝統的な技法を⽤いながらも、画⾯に不思議な空間を⽴ち上げ、⽔墨表現の枠を超えた独⾃の現代的な世界観を画⾯に取り込んできました。
今回は新たな試みとしてチューリップを題材に今までとは異なった表現を試みています。

展覧会タイトルの「空空(kong kong)」は、作家⾃⾝が「有⽤/無⽤という価値判断から離れた存在へのまなざし」を込めた⾔葉だと語ります。すべてを包み込み、溶かしていくような「空」の感覚を通じて、物や⼈の在り⽅を問い直す試みです。


【アーティストステートメント】
当初、この展覧会のテーマは「縁の花園」にしようと思っていた。
その「花園」は、幼い頃に⽥舎で過ごした記憶から⽣まれている。あの頃、空いている⼟地はほとんど畑に変えられ、花が植えられるのは畑の端̶̶区切りや飾りとして、ほんの少しだけ
だった。実⽤主義の視点から⾒ると、花にはあまり価値がないように思えた。⾷べられないし、収穫もできない。
たぶんその頃から、私はある判断の癖を⾝につけたのだと思う。何が役に⽴って、何が余分なのかを分けること。だから今でも、花屋で切り花を前にすると、いつも迷ってしまう。あと何⽇咲くだろう、買う価値があるだろうかと、つい計算してしまう。
その考え⽅は、花に限らず、あらゆるものに向かっていった。私は⾃分の作品にも、そして⾃分⾃⾝にも、同じように「測る」⽬を向けてしまう。いつからか、⾃分⾃⾝のことさえ、どこかで数えられ、並べられ、整理される存在として⾒ていたように思う。そしてある時ふと、⾃分の輪郭だけが残り、その中⾝がいつのまにか少しずつ揺らいでいたことに気づく。
ある時ふと、⾃分がただの輪郭だけになっていて、内側の何かがいつの間にか静かに崩れ始めていたことに気づく。「空空」という⾔葉は、そんな思いの中で名付けられた。それは“何もない”ということではなく、崩れたあとに残された空間であり、機能や理屈から離れてもなお、かすかに息づいている何かのこと。私はそんな花を描いた。端に追いやられ、期待されず、すぐに枯れてしまう花たちを。
今回の展⽰で使っている⽊のパネルは、普段パネルを作るときに出た端材ばかりだ。形は不揃いで、基準にも満たない。もともとは「捨てられるはずの部分」だった。
でも、次第に気づき始めた。その端や余⽩の形そのものが、すでに何かを語っている。誰かのために存在しているわけでも、使われることを待っているわけでもない。

林銘君「空空」