松元久子展 「ジンク -神供-」
会期: 2012-06-29 - 2012-07-14
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
レセプションパーティー
彫刻
現代アート
開催内容
FUMA Contemporary Tokyo | Bunkyo Art は松元久子展「ジンク -神供-」を開催します。松元久子の陶の作品は、「鰐」をモチーフとしています。
鰐の動物としての強さ、表皮の質感、スタイリッシュな迫力にインスパイアされたことから始まり、次第に身近なファッションとしての鰐皮と結びつきました。作家はファッションやブランドに対する憧れや違和感をテーマに、値段をタイトルにした鰐皮のハンドバッグや、鎖かたびらを思わせる緑の鱗で硬く覆われたコート、人肌にクロコダイル柄をプリントしたドレスなどを制作してきました。実際に人が着ることができそうなこれらの洋服たちの共通点は、いつも中の人間は不在だということです。長年松元の作品において、その消えてしまったであろう人型の空間は、なにより現代人を示していましたが、もろくも崩れ去る現実を経験し、その内側におとしこむ対象は、人からより大きな存在である信仰対象へと変化し、次第にその対象を保存しておくための「器」としての服の存在に注目するようになりました。作品タイトルでもあるジンクとは、「神供」という神への供物という意味です。このたびの展覧会では、狩人が獲物をカミに捧げるように、住人が祭事を行うように、作家はクロコダイルをカミへの供物とし、展覧会を構成します。自然から得られる惠みや畏敬の念から古来より信仰の対象となってきた山をイメージの源泉とし、自然の無限の力強さや、そして雄大さの内側に潜むものへの供物を、複数の器という形で提示します。楽釉をかけ、顔料をしみこませた独自の手法でつくられた岩のようなテクスチャーは、何度も塗装を重ねられることにより重厚感を増し、クロコダイルの革と見間違うようなクオリティーとともに、感覚を揺さぶる迫力のある表情をもちます。一つ一つのマチエールまでしっかりと作りこまれたやわらかな布の表情、硬質な質感、たっぷりとした本体のボリュームは、見るものに厳しく揺るがない存在を感じさせます。
なお、Room B では北彩子展「私の知らない物語」が同時開催されます。
http://koten-navi.com/node/19073