山﨑亜記子 “ どこへ、どこから ”
開催概要
開催内容
「記憶」「空間」「時間」を作品の中の重要な要素とし、主に鉛筆とアクリル絵具で制作する山﨑亜記子は、現在・過去・未来や人の存在についての関係性と、3つの要素の組み合わせや焦点を変えたりすることで、絵画空間を構成しています。人の存在を人物画ではなく、関係性を基にして組み合わせられた、記憶や空間、時間の概念を超えた景色として描きます。
本展「どこへ、どこから」では、移動と居住すること、そして今いる場所について焦点を当てて作品を展開いたします。近年の山﨑の作品は、様々ないきものが、変化や変容、関係性の象徴として大胆に登場しますが、今回の作品に登場している生き物、乗り物、ぬいぐるみや影についても、様々な事柄のメタファーを意識して描かれています。
「特定の場所から場所。内と外、境界。
また”時間”の移り変わりも含まれています。
昼と夜、過去・現在・未来。記憶との結びつき。
そして時折感じる、今、自分がいる、場所・時間のあいまいさ。
愛着。遠い場所も想う。
記憶、時間、痕跡、消失、変容そして存在と不在のメタファー。
内面的であり、外や世界とも繋がろうとする。空間との結びつき。
それらは失われていくものとも言えるでしょう。
またはすでに痕跡としてそこにある未来の記憶かもしれない。
どこへ、どこから。」--- 山﨑亜記子
彼女の作品を象徴するものとして、無数の窓が描かれているような建物が度々描かれてきましたが、それに加え、今回は自動車や船、電車など、今まであまり描かれてこなかったモチーフが登場いたします。また、どことなく遠い記憶の曖昧な景色を描いているような、全体的に薄暗い色味が特徴的だったのに比べ、はっきりとした明るく淡い色彩も年々多くなり、より身近な感覚が強くなってきた印象を受けます。そこには、作品に描かれている景色に更に踏み込み、何をしている場面なのか見え方を意識して描くようになったからだと彼女は話しています。
山﨑の作品は、時間軸や空間軸を行き来し、時には描かれる主体の目線をも変えることで、「矛盾」や「反復」という言葉を度々連想させられることがあります。現在を生きている我々は、過去や未来の様々な要素が交差することで成り立っており、視点を変えれば自分が思っていたことと異なるようにも見えてくるかもしれません。山﨑の作品は、それらを紐解くための考察する方法であり、時間や記憶の記録でもあるのです。
日常、変化、喪失、をキーワードに、絶望ではなく、希望がきっとどこかにあると願い描かれる山﨑の作品は、細部にまで彼女の拘りが散りばめられ、不思議な世界観で観る者を魅了します。これを機に、山﨑亜記子の新作展を是非ご高覧ください。