中津川博之「Phase」
開催概要
- 会期
- 2025年07月11日 〜 2025年08月09日
- 会場
- LOKO GALLERY (東京都渋谷区鶯谷町12-6)
- 参加クリエイター
- 中津川博之
- ジャンル
- アート
- タグ
- Painting、contemporaryart、現代アート、artworks、daikanyama、代官山、artgallery、画家、painter、中津川博之、hiroyukinakatsugawa
開催内容
LOKO GALLERYではこの度、長野県を拠点に活動するアーティスト・中津川博之の個展「PHASE」を開催いたします。
中津川は油彩画による表現を追求しており、光の移ろいによって変化する色彩を絵の具のマチエールが生み出す様々な効果を利用しながら、画面の上に再現しています。主なモチーフとなるのは自身が幼少期を過ごした長野の風景であり、山肌の質感や水面の様子、木々や植物のすがたは抽象化され、鮮やかな色彩のグラデーションとして見る人の前に現れます。
時間の流れの中で絶えず変化する対象のありようを絵画体験に還元する中津川の取り組みを、ぜひこの機会にご覧ください。
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中津川博之は移り変わりをテーマに、風景、植物、鉱物など、自然界のさまざまな事物を油彩画によって表現している。
近年力を入れている、油絵の具を盛り上げて作った凹凸から鑑賞者の視点によってレンチキュラーのように色彩の変化を楽しめる「Transition」シリーズ、無数の点を重ねて煌めく水面を表現した「Reflection」シリーズ、心象風景としての山や海が見せる異なる時間軸の表情をパターンのように組み合わせた「Impression」といったシリーズを展開し、自ら試行錯誤して生み出した技法を駆使しながら、一瞬たりとも同じではない自然の風景を一枚の平面に映し出そうとしている。
中津川の制作の特徴を一つ挙げるとすれば、時とともに変化する自然の姿を「現象」として捉え、再現しようとしていることである。1日は24時間、1年は12ヶ月あるいは四季などによって区切られるが、本来体験として流れていく自然の光景は、このような人為的な尺度によって図ることのできるものではない。夕焼けの空が暮れてく間合いに見せる紫色、林を映し出す水面が風でそよぐ瞬間、桜が散って次第に瑞々しい葉が芽吹く時、それは既存の時間の概念の中には回収しきれない、驚きと喜びを持って受け止められる一つの出来事として私たちの目の前に現れる。中津川が描こうとしているのは、朝や夜ではなく、春夏秋冬でもなく、ある変化に心が動いたその瞬間なのである。
「ここではないどこか」を志向するのではなく、目の前で起きている出来事の微細な変化を捉え、自らの身体を通して画布の上に再現する中津川の真摯な実践は、デジタルメディアの発達によっていっそう単純化された価値観の中に在る現代の私たちに、現実の受け止め方について再考する機会を与えてくれる。
岩垂なつき
美術評論家/トーキョーアーツアンドスペース 学芸員