生誕100年 松本竣介展
会期: 2012-06-09 - 2012-07-22
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
油彩画
近代アート
開催内容
松本竣介(1912-1948)の生誕 100 年を記念した回顧展。太平洋戦争下の過酷な時代に、画家として、人間として、充実した生をまっとうした松本竣介は、36 歳という若さでこの世を去りましたが、その後も日本の美術にとって、ひとつの里程標であり続けてきました。本展では、代表作《立てる像》などの油彩画約 120 点のほか、彼の創作の手掛かりとなる素描作品も多数紹介。さらに友人宛の書簡なども合わせて展示し、人間としての松本竣介像にも迫ります。
昭和前期の日本美術界に大きな足跡を残し、36 歳で夭折した画家松本竣介。1912(明治 45)年に東京で生まれた松本竣介は、少年時代を岩手で過ごしました。そして、中学入学を目前に病気で聴力を失ったことをきっかけの一つとして画家を志します。上京後は太平洋画会研究所へ通い、麻生三郎、靉光ら同世代の画家たちと交流を持ちながら制作に取り組み、1935(昭和 10)年、第 22 回二科展に《建物》で初入選。以降、建物や人々が幾重にも重なり合う都会風景や、大地に立つ自らの姿を大画面に描いた《画家の像》などの代表作を発表しました。
1936 年にはデッサンとエッセイによる雑誌『雑記帳』を創刊するなど、文芸活動にも取り組みます。しかし、新たな世界を構築しようとしていた矢先の 1948 年 6 月、病のためその短い生涯を閉じました。
日中戦争から太平洋戦争へと戦争が拡大し、敗戦を迎えるという過酷な時代に、画家として、人間として、きわめて充実した生をまっとうした松本竣介は、突然訪れた死による中断にも関わらず、その後の日本の美術にとってひとつの里程標であり続けてきました。
松本竣介という画家の存在が、初めて公立美術館で大きく取り上げられたのは、神奈川県立近代美術館で1958 年に開催された島崎鶏二との二人展でした。
それから半世紀以上を経て、当館のコレクションの中でも最も重要な位置を占める画家松本竣介の全貌を、本展では作風や描かれたテーマに応じて全体の構成を4章に分けて紹介、代表作の油彩画約 120 点のほか、彼の創作活動を知るうえでの手掛かりとなる素描作品約 60 点も展示します。また、当時の写真や友人宛の書簡などの資料類も合わせて展示し、人間としての松本竣介像にも迫ります。
今年生誕 100 年を迎える松本竣介の画業は、今なお多くの人の心を捉えて離しません。静謐な中にも深い詩情をたたえた松本竣介の世界をお楽しみください。