知られざるモダニスト 寺田至展
開催概要
開催内容
1980〜90年代、期待の新星として登場するも、束縛のない自由な制作を求め第一線から退いた寺田至。
没後の2018年、東京と愛媛で開催された遺作展で作品が公開されると、目の肥えたコレクターや関係者の間で多いに話題となった。
身近な事物や人物、旅先で出会った風景などを中心に、フォルムを単純化した静物や抽象画まで実に多彩。それらを、豊かな空気感をたたえた大胆なストローク、光の表情を的確に捉えたタッチ、洒脱かつ繊細な色彩感覚で活写する画面には、いずれにも存在の息吹が満ちみちており、三次元を二次元に変換する絵画ならではのイリュージョンの本質を思わせずにおかない。また、デ・クーニング、マチス、ホックニー、ブラック、モランディらへのリスペクトを映じつつも、油彩のみならずテンペラや日本画材、独自調合の絵具までをも自在に扱うことで、そこからの超克と自身の理想とを追求する姿勢は、伝統や枠組みからの脱却を目指すモダニストの在り方を示すものでもある。
没後10年の節目となる2024年早々、東京をスタートに各地数カ所で開催される回顧展が、その再評価を促進させるのは間違いない。
寺田 至 展に寄せて - 寺田由紀子
至は丸くて機械で動くものが大好きだと言い、欧米の古いカメラ、管球式のオーディオ機器、マニュアル運転の車に並外れた興味を持ち、それを手にして楽しみました。
生活面では、高校及び中高一貫校の美術講師として長年勤務。生徒たちに好かれました。
生涯、美術団体には所属しませんでした。
部屋に残された沢山の作品が誰の目にもふれられず埋もれてしまう。私が見ている絵はこんなに魅力的なのに・・・未発表の絵画を展示することにしました。
—— 2018年 羽黒洞『寺田 至 展』に寄せて 寺田由紀子