石田徹也 展 —今を生きる、僕らの姿
会期: 2012-04-28 - 2012-05-27
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
デッサン・ドローイング
トークイベント
油彩画
開催内容
代表作「飛べなくなった人」、「燃料補給のような食事」他、絵画作品約20点、ラフスケッチを展示予定
石田徹也(いしだ・てつや)は1973年に静岡県焼津市に生まれ、武蔵野美術大学を卒業後、東京にて精力的に絵画の発表を続けてきた。2005年、将来を嘱望されながら31歳の若さで亡き人となるが、およそ10年足らずの短い作家生活で約200点の作品を描ききっている。九州初の本格的な紹介の機会となる本展では、ギャグ・自嘲を含めたシニカルな表現の初期作品から、代表作「飛べなくなった人」、「燃料補給のような食事」をはじめとする絵画作品約20点を展示する。初期から亡くなる迄の代表作を一堂に鑑賞することのできる機会は、郷里である静岡や東京以外では数少ない。また、ドローイング、ラフスケッチなども展示予定であり、作家の息遣いを感じることのできる貴重な機会となる。本展を介することで、最後まで自我を見つめ続けた石田の姿を感じながら、現代に生きる私たちの有り様を問い直すきっかけとなるだろう。
〈ヨコハマトリエンナーレ2011〉への出品等、近年ますます注目を集める、石田徹也の絵画作品たち
没後、NHK新日曜美術館をはじめとする各種報道媒体で紹介され、2006年に刊行された『石田徹也遺作集』が版を重ねるなど、多くの人々の目にとまることになった石田の絵画作品。昨年は、全国巡回の企画展〈画家たちの二十歳の原点〉への出品や現代アートの国際展〈ヨコハマトリエンナーレ2011〉でシュールレアリズムの代表的な画家・マグリットと並んで展示されるなど注目を集めている。
観る者に大きな衝撃と共感をもたらす石田絵画の魅力とは
石田はキャンバスにアクリル絵具または油彩で、会社や学校という組織の中で管理されて生きる現代人特有の“悲しみ”をユーモアを込めて描いている。描かれているのは、飛行機やSLといった無機質な機械と人物を融合させた像や、ファーストフード店で機械的な食事をとるサラリーマンたちの姿である。絵画に登場する人物の瞳はどれも悲哀に満ちており、私たちのこころの奥底に潜む“悲しみ”や“孤独”、“無常感”といった感情に揺さぶりをかける。描かれる人物が作家である徹也自身の姿であることも、鑑賞する側に個人的な感情を呼び起こさせる理由の一つだろう。社会に対してどこか所在のなさや不安感、猜疑心を抱えて生きる我々は、石田の絵画に不思議な共感を覚えるのではないだろうか。主題を際立たせるシュールな画面構成で若き画家が描いたのは、不透明な社会を生きる私たちの姿そのものである。石田の残した絵画と痕跡を知ることは、時代に向き合い、孤独や劣等感などの負の感情から目を背けずに制作し続けた作家としての強さを感じることである。それは、明日を生きるすべての人々に、励ましと勇気をもたらしてくれるに違いない。