アートスペース油亀企画展 仲山姉妹 個展「アラスカ」
会期: 2012-04-01 - 2012-04-07
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
写真
展覧会タグ:
映像・映画
写真
立体
開催内容
私がお棺に入るとき
今でもあなたと暮らした何十年が
夢であってほしい
それは後悔でもあって
幸せでもあります
この言葉は、今回の被写体、岡山市北区出石町在住の野崎さんの奥さんが残した言葉です。
仲山姉妹は、日々を過ごしていく人間を見つめることで、私達が気がつかない、日常の違和感を見つけます。
彼女が岡山にやってきて、出石町で出会った野崎さんを通し、私達の世界が小さく、そして儚いことをアートとして提示します。
もうすぐ夏だね。
そしたら秋がきて、また冬だね。
そしたらまた夏がきて。
もうすぐ誕生日だね。
「まだ先だよ」
そしたらまたひとつ歳をとって、
すぐおばあちゃんになって死んじゃうね。
「べつにいいけど、なんかいやなの?」
「いや、べつにいやじゃないけど」
おやすみなさい、これで目を閉じたら明日だね。
仲山姉妹
[作品内容]
タイトルの「アラスカ」には、次の意味が含まれております。
戦時中の人々にとって、これから戦争に向かう人は、これから死に行くのと同じなので、誕生日のお祝いをしなかった。
その代わりに、無事に帰ってこられた時、帰ってこられた日を誕生日として、お祝いをしていた。
当時、お祝いにはケーキなどなかったので、アラスカエンドウ(グリーンピース)を炊いてお祝いをした。
会期中は毎日、被写体であり戦争体験者の野崎さんが油亀に在廊し、戦時中の手袋や帽子を展示いたします。
仲山姉妹が野崎さんと出会ってから5年間のうちに、コミュニケーションを取ることでうまれた新作作品を含む、
写真・映像・立体の作品を約10点発表いたします。
[ギャラリーコメント]
「まっすぐ伸びた菊に、違和感を感じない。」
農家や食堂、病院、工場、時には民家。
人とふれあい、会話をする。時には幾月も共に仕事をして、自分の身を同じ状況においてみる。
日々繰り返される何気ない仕草や会話。
彼女が見つける違和感は、当たり前に過ぎ去る事の中に潜んでいる。誰もが気づかず通りすぎる事の中に。
岡山で出会った野崎さん。今年で100歳。
彼と接した5年間。夫婦の会話にみつけた空虚さ。
知っていたはずの世界が小さく、あまりにも儚いということ。
人は一生のうちに、いったい何人と出会い、いくつの選択をしていくのだろう。
油亀 柏戸喜貴