伊瀬敬之個展 NOWHERE
会期: 2012-01-23 - 2012-01-28
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
写真
展覧会タグ:
写真
開催内容
バタフライ効果という言葉がある。太平洋上の一頭の蝶の一はばたきが、遠く離れたカリブの海にハリケーンを発生させるというかカオス理論の思考実験、即ち、初期値として入力されるエネルギー量の多寡と、生じる結果の規模の非関連性を示した比喩である。
真実を写すと書いて「写真」、それは大仰で大変なことのようだが、実際写真の進化は、いとも容易に簡単に作れるということにつきる。
ニュートラルで、客観的、といういささかならずとも抽象的な姿勢でシャッターを切ること、目の前のカオス、現実に対し徹底的に受身であること。被写体に、さらにはカメラに対してさえ、従順で貞淑な論理を保ち続けることが、自我を超えた思いもよらないケッサクを発生させるのだ。だから、考えたりしてはいけない、楽するために骨身を惜しんではならない。簡単で単純な繰り返しのルーチンワークのように、シャッターを切り続ける。バタフライ効果の比喩にある、蝶のはばたきのような小さなことしかしない。ナビの託宣も、袋小路の抜け道も、革新的なビジョンも、富貴や名誉でさえも何もかも、カンタンにしか、手に入らない。