具象画家ベルナール・ビュフェ -ビュフェが描いたもの-
開催概要
- 会期
- 2021年04月10日 〜 2022年03月06日
- 会場
- ベルナール・ビュフェ美術館 (静岡県長泉町東野515-57)
- 参加クリエイター
- ベルナール・ビュフェ
- ジャンル
- アート
- タグ
- 平面
開催内容
世界随一を誇る当館のコレクションから、ビュフェが描いたモチーフ、テーマを焦
点に構成。同時に、初期から晩年までのビュフェの人生、画風の変遷を追うことが
できる展覧会です。開催中は、全館で100点超の作品をお楽しみいただけます。
[新館展示室]
具象画家 ベルナール・ビュフェ
ビュフェの描いた「かたちあるもの」を見つめる
長いあいだ「絵」といえば、姿のあるもの、目に見えるものを描くことでした。しかし20世紀初め、「具体的なものの姿を描き写すことをしない」抽象絵画が登場すると、ものの姿を描いた絵は「具象絵画」と呼ばれるようになります。第二次世界大戦後には、時代の流れは具象から抽象へ、そして芸術の発信地はパリからニューヨークへ移りつつありました。ベルナール・ビュフェが画家としてデビューしたのは、パリの美術界が大きく揺らいでいた、そんな時代だったのです。
抽象と具象があたかも対立するもののように扱われた当時、抽象の趨勢に対抗すべく具象の新しい力を求めていた人々は、若き具象画家の登場を歓迎し、スターへと押し上げます。ビュフェ自身も具象にこだわり、生涯を通じてありとあらゆる「かたちあるもの」を描き続けました。
しかしあるインタビューで「抽象絵画をやってみようと思ったことはないのか?」と問われたビュフェは、こんな風に答えています。
ありません。絵画作品はすべて“抽象”です。
具象絵画は誰にでも理解できるものでなければならない。
同時に、そこに人々が何かを見出すことができなければならないのです。
すべての芸術が“抽象”であるというのは、この意味においてです。
ビュフェの作品に、今の私たちは何を見出すでしょうか。ビュフェの描いた「かたちあるもの」をあらためて見つめ、それぞれの作品と向き合ってみる展覧会です。
[本館 中展示室]
「ベルナール・ビュフェ」を生んだ時代
来館者が最初にビュフェに出会う導入部となる本館・中展示室では、初期の作品を中心に「ベルナール・ビュフェ」を生んだ時代を振り返ります。
戦後、新たな文化の星が求められていた1940年代末から1950年代、ビュフェは批評家賞の受賞をきっかけに批評家、文化人、美術収集家などから支持され、一躍人気画家となりました。当時の若者の心をとらえていたサルトルやカミュの思想とも結びつき、その人気は一般大衆にもひろがって、ビュフェは時代のシンボルとなっていきました。敬愛する小説家ジャン・ジオノの作品をドライポイント(銅版画)21点で表現した版画集『純粋の探究』(1953年)、芸術の魔術師ジャン・コクトーの戯曲を独特のカリグラフィと挿画で表現した版画集『人間の声』(1957年)など、ビュフェと同時代の文化人、芸術家との交流から生まれた共同作品は、まさに時代を彩った傑作です。またフランソワーズ・サガン原案のバレエ(1958年)、マルセイユ・オペラ劇場の「カルメン」(1962年)の舞台装置や衣装の制作にも取り組み、ビュフェの活躍は多岐に渡りました。画家をめざし、カンヴァスや絵の具にも不自由しながらひとり部屋にこもって制作を続けていた青年は、わずか10年の間に時代の寵児へと押し上げられることになったのです。