特別展「ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華 大様式の形成と変容」
開催概要
- 会期
- 2020年02月04日 〜 2020年03月29日
- 会場
- 九州国立博物館 (福岡県太宰府市石坂4-7-2)
- ジャンル
- アート
- タグ
- 平面
開催内容
フランス絵画の最も偉大で華やかな3世紀、すなわち17世紀の古典主義から18世紀のロココ、19世紀の新古典主義、ロマン主義を経て、印象派誕生前夜にいたるまでの壮大なフランス絵画の流れを69点の油彩画、17点の素描によってたどります。
九州国立博物館で開催される本展は、東京富士美術館のコレクション形成に尽力し、ナチスからルーヴル美術館のコレクションを守った人物として有名なフランスの美術史家・故ルネ・ユイグ氏(1906-1997、元ルーヴル美術館絵画部長、アカデミー・フランセーズ会員)へのオマージュを込めて開催いたします。
[展示構成]
第1章 大様式の形成、17世紀:プッサン、ル・プラン、王立美術アカデミー
絶対王政の象徴・太陽王ルイ14世のもとで、1648年に王立美術アカデミーが創設されました。「大王」とも呼ばれたルイ14世にならい、その後のフランス絵画の根幹を決めたフランスの古典主義美術を「大様式」と名付けました。画家として生涯のほとんどをローマで過ごしたニコラ・プッサンの絵画や理論をもとに、フランス美術の古典主義が育まれました。色彩よりもデッサンが重視された時代です。
もっとも重要な絵画理論によれば、描かれるべき絵画の主題には序列があり、古典文学や聖書を主題とする「歴史画」が至上のもので、「静物画」は一番下とみなされていました。
17世紀ヨーロッパにおいて風景画が発達したのは、クロード・ロランらが、イタリア生まれの風景画に歴史画の要素を加えた歴史風景画という新しいジャンルを開拓し、精妙な光の描写で風景を詩的な表現にまで高めたためです。大様式のもうひとつの顔といえます。
第2章 ヴァトーとロココ美術 一新しい様式の創出と感情の表現
この章ではロココ美術が全盛を極めた18世紀を取り扱います。
絶対君主ルイ14世は、ヴェルサイユ宮殿に宮廷を移転させ、絢爛豪華な世界を現出させました。しかしその晩年には、親密で感覚をくすぐる美術を好むようになったことが知られています。また、デッサンよりも色彩を重視するようになったことが、ブーシェの絵画によくうかがえます。
ヴァトーは、宮廷貴族の楽しみをまねたパリの豊かな市民(ブルジョワジー)が野外で楽しんだ雅な宴を描く「雅宴画」を生みだしました。そこでは、恋や憧れ、不安といった微妙で繊細な感情が表現されました。また、人工的な世界を描く牧歌的なジャンル・パストラールは、ブーシェの得意とするところでした。サロンと呼ばれる展覧会が定期的に開かれ、肖像画、風俗画や風景画がもてはやされるようになりました。なかでも、王妃マリー・アントワネットお気に入りの女流肖像画家ヴィジェ・ルブランは、典雅な肖像画を数多く描きました。
第3章 ナポレオンの遺産一伝統への挑戦と近代美術の創出
この章では、絶対王政に終止符を打ったフランス革命から印象派誕生前夜までを取り扱います。17世紀の古典主義美術と18世紀半ばのポンペイ遺跡などの発掘をきっかけとする古代美術への関心から、新古典主義美術が生まれたといわれています。特にダヴィッドとアングルは、第1章で取りた大様式、すなわち古典主義を受け継ぐとともにさらに発展させました。
社会体制の大転換、ジャーナリズムの飛躍的な発展、エジプトなど中近東へのナポレオンによる遠征を通して人々のオリエント世界への関心がたかまったことなどから、美術家たちは表現上の自由を手に入れました。なかでも、ジェリコーとドラクロワは、同時代の世界を描き、狂気や無意識の世界を開拓することで、ロマン主義美術を発展させました。
19世紀の美術アカデミーは、デッサンを重視し、仕上げのなめらかさにこだわり、古代作品や自然の模倣を大事にする画家の一団を生み出しました。なかでもブグローは、一般大衆から大いに評価されました。
第4章 デッサン
フランスの王立美術アカデミーの創設以降も、デッサンと色彩のどちらが大事かという論争が繰り返されてきました。デッサンには、油絵という最終絵画作品を準備するための習作、あるいは画家の構想や観察を記録する役割があることはもちろんですが、それ自体を鑑賞しても楽しめる魅力に満ちあふれています。なかでもヴァトーをはじめとする18世紀の両家たちが好んで用いた、黒・赤・白の3色チョークの作品が示す豊かな表現力をじっくりご鑑賞ください。