-「鉅鹿」発見100年- 磁州窯と宋のやきもの

開催概要

会期
2020年01月18日 〜 2020年03月15日
会場
静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内) (東京都千代田区丸の内 2-1-1 明治生命館 1 階)
ジャンル
クラフト
タグ
陶磁

開催内容

 中国宋代(960~1279)の陶磁器は「宋磁」と称され、中国の工芸文化のひとつのピークを示すものとして世界的に評価されています。2020年は、近代における宋磁蒐集の契機となった北宋の町「鉅鹿」遺跡と磁州窯の陶器の再発見からおよそ100年にあたります。
 磁州窯は河北省南部に位置し、五代(10世紀)以降現代まで日用の器物を大量に生産した民窯です。白化粧や黒釉の技法を基本に、独特の「掻落し」と呼ばれる彫刻的な文様表現、鉄絵や紅緑彩(赤絵)、三彩や翡翠釉などを用いた多種多彩で装飾性豊かな陶器を生み出しました。また同様の製品を焼造する生産地は、河南・山西・山東・安徽・陝西といった華北地域一帯に広がり、またその技術は国境を越えて契丹族の遼(916~1125)やタングート族の西夏(1038~1227)にまで伝わっていきました。
 本展ではまとまって公開されることの少なかった館蔵の磁州窯とその周辺の陶磁器(磁州窯系陶器)を紹介します。あわせて国宝「曜変天目(稲葉天目)」をはじめとする宋磁の名品を展示いたします。

[みどころ]
白黒つけるぜ! 白化粧と黒釉、掻き落し技法の妙
 磁州窯の陶器を特徴づけるのは、泥状に溶いた白土を器の素地に掛けて白い器面(白地)を作る「白化粧」と多量の鉄分によって発色する黒釉や鉄絵具の技術、そして器面を彫り込んで化粧した表面と下地の色彩のコントラストによって文様を浮き立たせる掻落しや線彫りの装飾技法です。唐~宋時代、希少な白い磁器土を使う白磁は高級品でした。本来は鉄分が多く、焼くとグレーになってしまう粗悪な陶土を使って、高級な白磁の色味に近づけようと行われたのが白化粧の技法です。
さらに北宋中期以降には白地に鉄絵具を塗って掻落す「白地黒掻落」や鉄絵具で直接文様を描く「白地鉄絵」が登場し、白黒の強いコントラストの装飾へと発展しました。磁州窯で作られた白化粧と黒釉の陶器(白地陶器と黒釉陶器)は、生産コストの安さ、技術的模倣の容易さ、色彩のコントラストを強調した美しさなどから華北一帯へと広まっていったのです。

白黒だけじゃない!「装飾技法のデパート」磁州窯の釉薬・彫刻・絵付け技法の色イロ
 磁州窯では「技のデパート」と称されるほどさまざまな施文技法や施釉技法が開発されました。白化粧と黒釉だけではない色トリドリのワザの数々、その一端をご覧いただきます。

やきものの極み-宋磁の美
 北宋(960~1126)・南宋(1127~1279)の約300年にわたる宋代のやきもの、すなわち「宋磁」は、約6000年の歴史をもつ中国陶磁の最高峰と称されています。宋代には著しい発展を見せた各種の産業や文化・芸術とともに、陶磁器もより実用性や耐久性に優れ、かつ洗練された美観をそなえる工芸へと進化しました。宋磁はいずれも緊張感のある端正な造形で、釉薬の美しさを引き立たせるための精緻な彫刻や型押しの文様、花形や瓜形の器形といったデザインに工夫がみられます。宋磁の洗練された美しさは、後世の陶工たちが追い求める規範となっていきました。

-「鉅鹿」発見100年- 磁州窯と宋のやきもの