入門 墨の美術 -古写経・古筆・水墨画-
会期: 2019-08-31 - 2019-10-14
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
書
開催内容
本展は、「墨」をテーマに、奈良時代から室町時代までの日本美術の優品を紹介する展覧会です。
奈良時代には仏教の広がりとともに、国家事業としても写経が盛んに行われ、それは明確な役割分担をした写経所のスタッフが担いました。平安時代、貴族は手習い(=習字)を大事な教養として学び、その和様の書は美しく装飾した料紙の上に流れるような線で書写されます。鎌倉時代にその萌芽がみられ、室町時代の禅宗文化や唐物の流行を象徴する水墨画は、墨のトーンを巧みに用い、鑑賞者を絵画空間へいざないます。
その時々でさまざまに用いられ、時代の美意識を如実に表現する墨。本展では、「古写経」「古筆」「水墨画」に注目し、静嘉堂所蔵の名品約30点を通して、多彩で奥深いモノクロームの世界をわかりやすく紹介します。
第1章 祈りの墨―古写経―
仏教が政治にも深く関与した奈良時代の古写経「五月一日経」や「善光朱印経」などを展示します。写経不振の時代と言われる平安時代前期にあって、現在150巻以上も遺っている「小水麻呂願経」も紹介。古写経の謹直な書からは仏教への真摯な信仰心も見て取れます。
第2章 雅なる墨―古筆―
「古筆」つまり「平安時代から鎌倉時代の和様の名筆」をご覧いただきます。それは、きらびやかな料紙と筆墨のコラボレーションといえ、当時の貴族の教養と美意識を今日に伝えています。静嘉堂・古筆コレクションの白眉、国宝「倭漢朗詠抄 太田切」は修理後初公開!!
第3章 墨に五彩あり―水墨画―
水墨画は鎌倉時代の絵画にその萌芽がみられ、室町時代の禅僧による「詩画軸」や画僧が描く大画面形式の山水画などに展開してきます。重要文化財・伝周文筆「四季山水図屏風」は成熟した周文様式の山水画で、修理後初公開です。その他、室町時代の関東を中心に活躍した絵師・前島宗祐や雪村の作品も展示。静嘉堂の水墨画を一堂に展示する10年ぶりの機会です。