エドワード・ゴーリーの優雅な秘密

開催概要

会期
2019年09月29日 〜 2019年11月24日
会場
練馬区立美術館 (東京都練馬区貫井1-36-16)
ジャンル
アート
タグ
平面

開催内容

 アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey/1925-2000)の展覧会を開催します。アイロニカルで少し不気味な独特の世界観と、繊細なモノクロームの線描は、世界中の人々を魅了しています。近年、『うろんな客(The Doubtful Guest)』『不幸な子供(The Hapless Child)』などの絵本の翻訳が次々と発表されたことにより、日本でもその人気が高まっています。
 ゴーリーは、新聞記者の父エドワード・リード・ゴーリーと母ヘレン・デュマのもとに、シカゴで生まれました。少年時代より読書好きで、イギリス古典文学にも親しみました。美術を学ぶために、シカゴ・アート・インスティチュートに進学したゴーリーは、第2 次世界大戦での従軍により学業が一時中断されたものの、終戦後にはハーバード大学へ進み、フランス文学を専攻します。この学生時代に、美術と文学のみならず、歌舞伎やバレエなどの舞台芸術や様々な分野、地域の芸術に対する造詣を深めました。学生時代に養われた芸術への見識は、彼の創作の根幹を築いています。

 ゴーリーは、1950年から本の制作活動をスタートします。彼の絵本世界は、幻惑的な物語と繊細で優雅なイラストで構成されています。文学に傾倒したゴーリーらしく、古語や造語、押韻などが散りばめられたテキストによって、複雑で謎解きのようなストーリーが組み立てられ、細いペンで描かれた個性的で不思議な登場人物たちが物語の世界を演じて見せます。
 また、ゴーリーが生み出したのは絵本の世界だけではありません。舞台芸術を愛した彼は、それらの衣装や舞台デザインやポスターなども手掛けています。このようなゴーリーの世界観に、シュールレアリストのマックス・エルンストや映画監督のティム・バートンなど多くの芸術家や文化人が魅了されています。ゴーリー自身が、ファイン・アートからポピュラー・カルチャーまで、ジャンルに囚われず幅広く愛好したように、彼の芸術はあらゆる新しい創作の源泉となっています。
 本展は、ゴーリーの没後に、エドワード・ゴーリー公益信託とブランディーワイン・リバー美術館によって準備された世界巡回の原画展を、日本ではじめて公開するもので、2016年より日本全国各地で巡回しています。原画に資料や書籍などを加えた約350点から、ゴーリーの世界観を紹介します。

[展覧会構成]
第1章 主著:ゴーリーによるゴーリーの世界
ゴーリーは、自身でテキストとイラストの両方を手掛けた本を「主著(Primary Books)」と呼びました。数多く残された主著は、ゴーリーの世界観が最も集約されている作品群と言えるでしょう。本章では、その中から、日本でも翻訳出版された人気の絵本『うろんな客 (The Doubtful Guest)』『ギャシュリークラムのちびっ子たち または 遠出のあとで(The Gashlycrumb Tinies: or, After the Outing)』などをはじめとした代表作33 点を取り上げます。挿絵だけでなく、文章、タイトル・ロゴなどの細部にまで、ゴーリーの思索が反映された作品世界が広がります。

第2章 イギリスのナンセンス詩や文学とゴーリーの挿絵
ハーバード大学を卒業したゴーリーの初仕事は、1950年に出版されたメリル・ムーア(1903-57)の詩集『不規則なソネット』の見返しイラストでした。続いて、イギリスの小説家チャールズ・ディケンズ(1812-70)などの装丁や挿絵を手掛けました。第1 章で取り上げた主著とは別に、ゴーリーが装丁や挿図を手掛けた詩集や小説などの文学作品は約80点にのぼります。
 児童文学にも精通していたゴーリーは、19 世紀のナンセンス詩人、エドワード・リア(1812-88)の『ジャンブリーズ(The Jumblies)』や『輝ける鼻のどんぐ(The Dong with a Luminous Nose)』に独自解釈に基づいた挿絵を提供し、主著と並ぶ彼の代表作となっています。また、詩人T.S.エリオット(1888-1965)の作品で、ミュージカル『キャッツ』の原作となった『キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科(Old Possum's Book of Practical Cats)』の挿絵も、ゴーリーの猫への愛情が感じられる特異な作品となっています。本章では、ゴーリーが挿絵を提供した代表的な文学作品を紹介します。

第3章 ゴーリーの多様な創作と舞台美術
1953 年、ゴーリーは出版社ダブルディに就職します。その間、様々な書籍の装丁やタイポグラフィーなどを作り出し、主著と共に多くの本の仕事を精力的に行いました。その一方で、ニューヨークに在住していた間、熱心に通い詰めたニューヨーク・シティ・バレエの広告宣伝物の制作を担当し、また自作の脚本による演劇『ドラキュラ』では舞台と衣装デザインも手掛けました。この舞台は、トニー賞を受賞するなど、大成功を収めています。また、ギルバート&サリバンの喜歌劇『ミカド(The Mikado; or, The Town of Titipu)』の衣装デザインも担当し、舞台芸術においてもゴーリーは才能を開花させました。本章では、これまでの本を中心とした仕事以外の、舞台にまつわる仕事を紹介します。

エドワード・ゴーリーの優雅な秘密