桂典子個展「はこ」
開催概要
- 会期
- 2019年06月10日 〜 2019年07月05日
- 会場
- 武蔵野美術大学2号館1F gFAL (東京都小平市小川町1-736 武蔵野美術大学鷹の台キャンパス2号館1F)
- 参加クリエイター
- 桂典子
- ジャンル
- アート
- タグ
- アート、絵画、インスタレーションアート、アートブック
開催内容
桂典子個展「はこ」
6/10(月)~7/5(金)
11:00~17:00
日・祝休廊
武蔵野美術大学2号館1階gFAL
https://www.musabi.ac.jp/topics/exhibition/gfal/
桂典子の作品の大きな特徴は、様々なモチーフが画面を覆い尽くすように描かれている点である。
それは見る者の感覚を激しく動かし感情を持ち上げる力に満ちている。
モチーフは食べ物であったり、動物や植物であったり、あるいは眼球のように身体の一部であったりする。
それらは既に十代の頃から登場していたモチーフだが、
特筆すべきは、日頃口にする様々な食べ物に、くりくりとした目が描かれている点であった。
食べ物は目が描かれることで、ユーモラスで少し不気味は性格を与えられ、
絵画世界の中で新たな命を得る。
命を与えられた食べ物たちは集合し連鎖し反発しながら大きな流れを作り、
桂ワールドとも言える世界を形作るのである。
色彩は色相環的に使われ彩度が高く極めて多彩であり、
桂の光への渇望の強さが表れている。
食べ物たちの目は、やがて生き物の象徴として卵子のように描かれるが、
いつしか球体は原子であり細胞であり惑星さえ思わせるものとなってゆく。
桂の球体へ対する執拗な拘りはミクロとマクロの世界を往還する。
そんな桂の絵画世界にアンパンマンの世界のような善と悪とが共存し、
そのどちらも必要な愛すべき汎神論的な世界を読み取ることも可能である。
あるいは現代人が既にその能力を失い見ることのできなくなった、
あの世からの来訪者である滑稽でおどけた妖怪や化け物たち、あるいは生き物たちの霊魂の顕在を感じることもできるだろう。
桂の手によって見えないものたちは形と色を与えられ、この世に出現してくる。
そして現代の私たちの住む空間に通路を開け、死者の世界と私たちの世界が決して断絶したものではなく、
常に連続していることを教えてくれるのだ。
作品で覆われた壁や床や天井によってつくられた場は、特別な「場」となり、この世とあの世の境界となる。
生き物のような形態の絵画を日常空間に侵入させ、時空を変質させようとするその行為は、神と人を繋ぐ巫者の業であろう。
そしてその制作は現代人が失いかけている見えないもの、聞こえないものと交信する力の存在を気づかせ、
人間が本来的に持っている豊かな心の古層を蘇らせてくれるのである。
武蔵野美術大学油絵科教授 樺山祐和