ICOM 京都大会開催記念 集めた!日本の前衛-山村德太郎の眼 山村コレクション展
会期: 2019-08-03 - 2019-09-29
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
アニメ
写真
絵画
現代アート
開催内容
前衛美術の一大コレクション、約20 年ぶりの大公開!
展示スペースを拡大しての特別企画。
「山村コレクション」とは、兵庫県西宮市に在住していた企業家、山村德太郎(1926-1986)が収集した戦後日本の前衛美術の作品群です。山村の没後、兵庫県立近代美術館(当時)へ68 作家167 点が一括収蔵され、現在も当館現代美術コレクションの核となっています。将来的に公共の財産となることを念頭に集められた作品群は、個人の収集品とは思えぬ大きさと質を備えており、個々の作品は当館ほか国内外で度々展示される一方で、まとめて紹介される機会は限られてきました。
このたびの展覧会では、企画展示室に加え別棟のギャラリーも会場に、約20年ぶり、かつ過去最大規模の出品点数により、「山村コレクション」の全体像を紹介します。
抽象のパイオニアから、世界の「具体」、80年代のニュー・ウェイブまで。今こそ新鮮な前衛美術の数々。
山村は、まだ評価の定まらない新しい表現を、自分の眼で確かめ、いち早く集めました。戦前より抽象に取り組んできた世代から、国際的に名高い前衛美術集団「具体美術協会」、さらには80 年代に登場した若手作家まで、結果的に「山村コレクション」には、今や戦後美術史を語る上で欠かせない数々の重要作が含まれています。
収集方針は、山村自身の言葉によれば「アブストラクト(=抽象)と人間くさい前衛のはざ間」。たしかに前衛美術といってもクールに尖っているだけではなく、どこか作り手の体温や、ユーモアを感じさせる作品も多く見られます。これら昭和後半の同時代美術は、21 世紀の私たちには驚くほどストレートなパワーにあふれ、今こそ新鮮に映ります。
社長は一歩先をゆく。再制作、オーラルヒストリー…今、最も旬なトピックも。
製壜会社社長としての山村德太郎は、いち早くリサイクルに取り組んだことで知られています。時代の一歩先を行く山村は、晩年、先取的な作品の購入に加え、失われた実験的作品の再制作という野心的なプロジェクトにも乗り出しました。同展でもコーナーを設け紹介するように、再制作にあたってはインタビューや写真資料などの丹念な調査が行われています。これらは、昨今盛んなオーラルヒストリー(口述歴史)やアーカイブズ資料を活用した調査研究活動の先駆的な事例と言えるでしょう。
「出会いこそ人生」—
知られざる山村德太郎の収集物語を大胆に再構成
同展では、山村がどのように作品を集めコレクションを形成していったのか、これまで注目されてこなかった収集の経緯を、関係者への聞き取りや文献資料などから読み解き想像し、いわば山村德太郎の「こうだったんじゃないか」収集物語として展示を構成します。
山村の著書『一本のあきびんから』には「出会いこそ人生」という印象的なフレーズがあります。山村は作品収集においても、作家本人と会うことを重視していたといいます。山村德太郎という一人の人間が、それぞれにユニークな人間のつくる作品とどのように出会い魅了されたのか―会場で繰り広げられる収集物語を通じ、来場者もまた幾多の個性と出会い、その魅力を肌で感じていただく機会となるでしょう。